シスコシステムズは6月19日、クラウド管理型無線ネットワーク製品などを展開する「Cisco Meraki」事業について説明を行った。当初のWi-Fiから現在は映像動体検知などの技術も広がり、それらを“シンプルに提供する”というコンセプトがヒットしているという。
Cisco Meraki シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのTodd Nightingale氏は、MerakiのビジネスがCiscoによって買収された6年前(2012年)から現在に至るまで約20倍の目覚ましい成長を遂げていると紹介し、その理由として同社が追求してきた「モダンなクラウドテクノロジーを活用することでITインフラをどのように構築できるようになるのか」というビジョンが大きな役割を果たしたとの認識を示した。
シスコ メラキ シニア バイス プレジデント兼ジェネラルマネージャーのTodd Nightingale氏
さらに、同社のミッションが「Work Simple. シンプルに動く」ことだと語った。その意味を同氏は、来日してから訪問した焼き鳥居酒屋を例に挙げた。今では、そうした小さな店舗でもWi-Fiサービスなどを提供することが求められるが、専任のIT担当者がいることは期待できないため、「焼き鳥を焼く職人がWi-Fiのセットアップもすることになるため、現場で働く人がITのことを気にすることなく、自分の本来の業務に専念できるように、複雑な設定作業等が不要ですぐに使えるインフラを提供することに注力してきた」という。
そして、同社が提供するのは「Simple, Secure, Digital Workplace(シンプルでセキュアなデジタルワークプレイス」だと紹介した。日本でのMerakiのビジネスは、同社が当初に手掛けた「クラウド管理型のWi-Fiネットワーク」のイメージが強いものの、現在の製品ポートフォリオは6分野にわたっており、無線LANアクセスポイントはそのうちの1つに過ぎないという位置付けになっている。
セキュリティーカメラ「MV32」の魚眼レンズによる撮影画像のイメージ
同氏は、Merakiの「本当の価値」が6分野の個々の製品ではなく、それらを統合して管理するシンプルなインターフェースである「ダッシュボード」だとした。このダッシュボードは“Single Pane of Glass”(一枚の窓ガラス)とも表現され、運用管理担当者はこの単一のインターフェースを通じてあらゆる情報を確認し、必要な作業を行えるという。
また、4月に米国で発表の最新のセキュリティーカメラ「MV32」について機能のデモを交えて紹介した。このカメラは360度の視野角を持つ魚眼レンズを搭載し、天井に設置すれば部屋全体を常時撮影できる。撮影映像は魚眼レンズならではの円形で周辺がゆがんだものだが、この映像をデジタル画像処理技術で自然なイメージに変換できる。
DPTZ機能で魚眼レンズの映像を自然な映像に変換した結果。もちろん360°自由な方向を映し出すことが可能
この機能は「Digital pan, tilt, zoom(DPTZ)」と呼ばれ、通常のビデオカメラが備えるパン、ティルト、ズームの各機能がモーターを使ってカメラ本体やレンズの一部を物理的に動かすことで実現しているのに対し、カメラ自体は全く動かさず、画像処理だけで実現することから低コストかつ機械的な故障がないという大きなアドバンテージを得ることができるという。また、撮影された映像に対する解析機能では映像内での動きを検出する機能などが実装されている。この機能を活用すると、部屋に人が入ってきた場面だけを抽出してチェックできるなど、映像の確認作業の効率が大幅に高まるという。
日本におけるCisco Merakiの売上推移
なお、国内での状況を紹介したシスコ メラキのジャパン カントリーリードを務める山移雄悟氏は、2015会計年度にWi-Fiアクセスポイントからスタートした事業が急速に成長しており、しかもイーサネットスイッチやSD-WAN、セキュリティーカメラなどのポートフォリオに関しても堅調に伸びているとした。