「こういった部分を全国に展開することで、少しずつ業務改善につなげていくという取り組みを進めている」と杉原氏。それとともに、働き方改革について、「作業を効率化させるという部分だけに捉えるのではなく、RPAを活用することで新たな価値を創出するという取り組みをしている」と述べる。
その例として、人が就寝している、つまり、人が職場にいない時間帯にRPAを稼働させることで、業務の時間軸を変え、新たな価値を創出することを杉原氏は挙げる。
ヤマトリースの場合、社員が出社後に中古車両の市場価格をウェブの情報と自社独自の情報を組み合わせてデータベース化することから、午前中の営業活動に活用できなかった。この作業をRPAにやらせて社員の出社前に終わらせることで、午前中の業務開始前に営業担当への配布が可能になり、営業の効率化という価値を創出できたと説明する。
また、ある玩具製造業者の場合、ECでの受注データが販売委託先から深夜3時に送られてくるため、社員の出社後にデータを取得して変換、そして、午後に出荷作業をしていたことから、翌日の出荷となっていた。データの取得と変換をRPAにやらせて社員の出社前に終わらせることで、午前中から出荷作業に着手できるようになり、当日の出荷が可能とった。これにより、商品到着までのリードタイム短縮と在庫圧縮という価値を創出できたと主張する。
その一方で、こうした取り組みを進めるにあたって起こりうる課題があると解説。外部データの急な仕様の変更やCPUの使用状況などにより、予期せずRPAが停止してしまうことだ。
このような稼働停止は、RPAの導入効果を最大限に発揮するのを妨げる要因となるが、人的に監視して防止するのは現実的ではない。そこで、ヤマトシステム開発では、RPAの監視や復旧をサポートする環境を構築している。
この環境では、RPAをヤマトシステム開発のクラウド環境で実行することで、同社が24時間365日にわたってRPAの実行状況を監視したり、稼働停止の場合は復旧したりする。同社は、このようなサービスをグループ会社に提供しているという。RPAの種類は問わない。

同社は、同様のサービスを8月からグループ外の一般企業にも提供することを予定。クラウド型なので新たなハードの増設や保守が不要であり、従量課金制を予定しているという。
これにより、稼働時間に応じた料金体系でコストを抑えつつ、「業務効率化」と「働き方改革」を支援できると提言。「われわれの環境でしっかりとお守りするというところで、安心してお使いいただける環境を用意するという取り組みを始める」と杉原氏は述べた。