WannaCryの教訓を生かせ、専門家がNHSのサイバーセキュリティー対策に警告

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 編集部

2019-07-08 11:32

 英国民保健サービス(NHS)は現在でもサイバー攻撃に対して脆弱で、患者の安全性にリスクをもたらしかねないインシデントを予防するための対策を講じる必要があるとインペリアル・カレッジ・ロンドンのグローバル・ヘルス・イノベーション研究所が警告している。

 同研究所によると、古いコンピュータシステム、投資の不足、セキュリティスキル不足が病院にリスクをもたらしているという。

 例えば、サイバー攻撃により医師が生死に関わる患者の情報にアクセスできなくなったり、人命救助に必要な医療機器やデバイスが正常に機能しなくなったり、患者のデータが盗まれたりする可能性があるという。

 研究者らは緊急に投資を増やす必要があると述べる。組織のITチームにサイバーセキュリティ専門家を増やすべきだとしているほか、防火につながる対策をシステムに講じて、コンピュータウイルスに感染した時にネットワークの一部を隔離できるようにすべきだと助言している。スタッフがサイバーセキュリティについてのアドバイスや支援をどこで得るべきかわかるようにするコミュニケーションシステムを病院が持つことも大切だとしている。

 報告書ではまた、ロボット、AI、植込み型医療機器、パーソナライズ医療などの新しい技術をヘルスケアに導入する際は、セキュリティをデザインに組み込む必要があるとも記されている。

 NHSはすでに、NHSを直接ターゲットとしたものではないが、大型のサイバー攻撃に遭っている。2017年のWannaCry攻撃では、ヘルスシステムが攻撃に遭い、何万件の診療がキャンセルを余儀なくされた。一部では患者を他の病院に搬送することになり、被害総額は合計9200万ポンド(約125億円)と見積もられている

 報告書の筆頭執筆者であるSaira Ghafur博士は次のように記している。「2017年のWannaCry攻撃以来、サイバー攻撃のリスクに対する認知は大きく改善している。しかしながら、さらなるイニシアティブや認知啓蒙を行い、サイバーセキュリティの『衛生状態』を改善して、これらのインシデントがもたらす危険に対抗しなければならない」。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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