富士通、デジタル生産準備ツールの新版を販売開始

NO BUDGET

2019-08-09 17:12

 富士通は8月5日、製品の組み立て工程を支援するデジタル生産準備ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS」の新版「V15L21」を発表した。

 VPSは、デジタルプロセスが開発したツールで、製品の設計CAD構成から組み立て構成画面を作成し、視覚的に確認しながら作業の手順や工数などを編集することができる。新版では、工程の順番や階層構造を表す工程ツリー画面を追加した。これにより、各工程の作業で使用する部品や作業手順・場所、設備や治工具、製造ノウハウなどの製造情報を考慮した工程情報の作りこみが可能になる。

 工程の順番や階層構造を工程ツリー画面として一覧で表示する機能により、何を、どの部品で、どこで、どのように組み立てるのかといった製造情報を工程ごとに集約できるようになる。従来版では、製品構成に基づいた組み立て順序を製造フロー画面として作成し表示していた。

 新機能により、工程計画者は、製造フロー画面上での作業の順番や階層に影響せず、工程ツリー画面で工程内の作業順番や階層を変更することができるため、事前にできる作業や並行してできる作業を考慮した工程計画を立てることが可能となる。また、背景に工場の平面図を取り込み、作業場所に各工程をレイアウトした工程ブロック図を表示することも可能となるため、工程計画者は、工程全体の関係や流れを作業場所の位置関係も含めて計画を検討することができる。

工程ツリー画面を含めた画面構成
工程ツリー画面を含めた画面構成(出典:富士通)

 工程ツリー画面での一覧表示から、個々の工程ごとに付加された部品の一覧や保管場所、工数や工程全体に掛かる時間などの属性一覧表示への切り替えることもできる。これにより、必要な工程情報を容易に引き出し、精度の高い工程計画を効率的に行うことができる。さらに各工程で使用される部品情報の表示や関連するシステムへの出力機能も搭載しているので、例えば、部品供給を管理するシステムに該当する工程の作業が行われる場所や使用する部品の種類と数量といった情報を連携させることで、これまで個別に供給部品リストを作成していた作業の効率化が図れる。

 また、工程分担リスト機能も追加された。この機能は作業者や設備などリソース別に割り当てた合計工数を比較し、人数や生産台数別など複数パターンの検討を支援するもので、工程計画者は、リソースバランスを考慮した作業計画を立て、生産現場の最適化と生産性向上を図ることができる。

 これらの新機能で作成した工程情報は、無償提供されている「VPS Viewer」でも閲覧することができ、VPSを簡易的な工程情報(BOP)として利用することも可能だ。

 新版の販売価格は1ライセンス当たり税別400万円。2020年度末までに売上50億円を目指す。

 

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