米国では2016年の大統領選挙以降も、選挙のセキュリティを確保するための法整備がほとんど進んでいない。しかし2020年の大統領選挙までに電子投票機のセキュリティ基準を変えられなければ、2016年のサイバー攻撃をはるかに上回る、深刻な事態が生じる恐れがあると米上院議員のRon Wyden氏は警告する。
米上院議員のRon Wyden氏
提供: Getty Images
Wyden氏はオレゴン州選出の民主党議員で、上院情報委員会(Senate Intelligence Committee)のメンバーでもある。同氏はDef Conの聴衆を前に、米国の投票インフラは選挙をサイバー攻撃から守る準備ができていないと語った。この発言は、Wyden氏が先週、選挙のセキュリティをテーマにしたDef Conの特別セクション「Voting Village」での講演で語ったものだ。
「何の手立ても講じなければ、米国は敵対する外国勢力から、2016年の大統領選挙が子どものいたずらに思えるような、重大な干渉を受けることになるだろう」とWyden氏。「しかし、攻撃に対抗するための体制は完成していないどころか、完成からほど遠い状況だ」
ロシアによる未曽有の干渉があったとされる2016年の大統領選挙以降、米国の連邦議会では選挙のセキュリティが重要な懸念事項となってきた。実際に投票結果が改ざんされたことを示す証拠はないが、上院情報委員会によれば、50州全ての選挙システムがロシアの標的になっていたという。
連邦議会には米国の選挙を守るための法案が提出されているが、法の制定に向けた進捗ははかばかしくない。この問題を議論し、またサイバーセキュリティ政策について学ぶために、複数の連邦議会議員がDef Conに参加した。
2018年、Wyden氏はセキュリティ確保の目的上、選挙において投票用紙の使用を義務づける法案を上院に提出した。Wyden氏の助言をもとに、下院でも選挙のセキュリティに関する同様の法案が提出され、可決されたが、この法案は上院の多数党院内総務Mitch McConnell氏によって阻止された。ケンタッキー州選出の共和党議員であるMcConnell氏は、この法案を党派的利益を目的にしたものだと批判した。
Wyden氏は先週の講演でMcConnell氏を強く非難し、連邦議会が選挙のセキュリティ問題を解決できていない原因は、この人物にあると述べ、「Mitch McConnellこそ、米国の選挙のセキュリティを脅かす、ロシアの最大の盟友だ」と非難した。
McConnell氏はコメントを求められたが、無言を貫いている。