2019年のテーマは「Make Your More」
VMwareの年次イベント「VMworld 2019」が、米サンフランスシコのモスコーニセンターで8月26日から開催されている。3年続けてラスベガスで開催されていたVMworldだが、2019年は4年ぶりにサンフランシスコへ戻っての開催。さらに、会期直前には、PivotalとCarbon Blackを買収することを発表。大きな話題を集める中での開催となった。
今回のテーマは、「Make Your Mark(準備はいいか)」。会場には、全世界約100カ国から5000社以上、2万1000人以上が参加。日本からもパートナーや顧客など約400人が参加した。日本からの参加は過去最高となっている。また、展示会場には約230社の企業が出展した。
会期初日の午前9時から行われた基調講演では、VMwareのPat Gelsinger CEO(最高経営責任者)が登壇。冒頭に「PivotalとCarbon Blackを、VMwareファミリーに迎えることをうれしく思う」と切り出し、基調講演に参加していたPivotalのRob Mee CEOとCarbon BlackのPatrick Morley CEOを聴講者に紹介した。
VMwareの最高経営責任者、Pat Gelsinger氏
また、Gelsinger CEOは「いまはデジタルテックの時代であり、いまほどテクノロジストが必要とされる時代はない。われわれが果たすべき役割は大きくなっている。社会課題を解決するのに最も相応しい立場にいるのがわれわれである。ここにいるVMwareの認定を受けているスペシャリストがその役割に適任である。そしてこれから10年はマルチクラウドに精通したテクノロジストが最も求められる人材になる」などとした。
マルチクラウド戦略においては、「Build(構築)」「Run(実行)」「Manage(管理)」「Connect(接続)」「Protect(保護)」の5つの観点を説明。特に「構築」においては、Kubernetesを中心に話を展開した。今回のVMworld 2019においては、Pivotalの買収を含めたKubernetesへの取り組みがメッセージの上では主役のひとつになっていた。
Gelsinger CEOは、「VMwareはここ数年、Kubernetesに積極的に投資をしており、Kubernetesコミュニティーに貢献している上位3社のうちの1社であるBitnamiの買収やHeptioの買収に続き、このほどPivotalも買収した。VMwareはKubernetesにコミットしている。だが、メッセージがまだ明確ではなかった」と発言。「デベロッパーとITオペレーターをつなぐ役割を果たすのがKubernetesである。どんなアプリにも対応でき、どんな言語にも対応できる」と前置きしつつ、Kubernetesの開発者の一人であり、現在、VMwareでプリンシパルエンジニアを務めるJoe Beda氏の「Kubernetesは即興が求められるジャズと同じで、予期しないことが起こったらそこにほかのプレーヤーが順応していくことになる」という言葉を引用しながら、Beda氏を壇上に呼び込み、新たな取り組みを発表してみせた。
Kubernetesはジャズと同じ
それが「VMware Tanzu」である。Bada氏は「これはプロダクトとサービスのポートフォリオであり、Kubernetesによってエンタープライズソフトウェアの構築方法を変えるものである」と位置付けた。
VMware Tanzuの最初の製品として「VMware Tanzu Mission Control」を提供。一貫した環境で、Kubernetesのフットプリントを管理できるのが特徴だ。さらに、VMware vSphereをKubernetesネイティブプラットフォーム上に展開する「Project Pacific」も発表。企業はvSphereでの最新アプリの開発と運用を加速しながら、テクノロジーやツール、スキルセットといった既存投資をそのまま引き続き活用できるようになるという。
VMware Tanzuを発表
Project Pacificも発表した
「vSphereがKubernetesを走らせる最良の場所になるよう努力していくことになる。既にProject Pacificでは、従来のLinux VM(仮想マシン)よりも30%速く走らせることができ、ベアメタルよりも8%速く走らせることができる」などとした。
なお、Tanzuはスワヒリ語で「枝」という意味があるとしたが、Gelsinger CEOは「日本語では似た言葉で、ものを入れておく“タンス”というものがある」などと述べた。