人間とコンピューターの関係から考える未来の職場の風景 - (page 2)

永長純 小林伸睦 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2019-08-28 07:00

信頼と協力に基づく関係

 人間とコンピューターの間の情緒的なつながりもまた変化しています。

 双方が協力的に働くことができれば、信頼に基づく関係が構築されるかもしれません。コンピューターは独自の見方で世界を見るとともに、私たち人間がその他の分野で成功を収めることを支援しています。

 未来の職場ではコンピューターが個々の人間から学び、最終的にはたとえば単調な繰り返し作業から人間を解放し、より人間の認知能力を必要とする分野での生産性を高めるようになるかもしれません。

 特定のシナリオ下では、音声アシスタントが「最も賢い」推奨や提案を人間に対して行い、人々のパフォーマンスについてインサイトを計算し、作業の優先順位付けや、1日のうちの限られた時間をどのように有効に使って意思決定を行うか、あるいはいつ休息を取るかなどの提案を行うようになるかもしれません。

 より複雑なシナリオにもこのような仕組みが適用され、コンピューターが人間の同僚に対して提案を行うようになることも予想されます。

仕事の未来

 『2001年宇宙の旅』について言えば、この映画を観たことがある人は最後にHALが支配権を奪い、乗組員の命よりもミッションの目的を優先したことを覚えていると思います。このHCIにおいてコンピューターが支配的になりすぎることは、当然ながら懸念の対象となっています。

 しかし世界は人間の認識能力を基に形作られており、AIは依然として人間によりプログラムされ、その進歩のスピードは人間が決めています。HALが人間を支配できたのは、そのようにHALがプログラムされていたからに過ぎません。

 将来的には人間とコンピューターとの結び付きが強まり、それによって私たちの働き方も劇的に、またより良い方向へ変化すると予想されます。「コンピューターに寄り添った」インターフェースから「人間に寄り添った」インターフェースへの進化を通じ、人々は「自然」で「人間的」な形でコンピューターシステムとやり取りし、協力できるようになります。

 現在研究中のユースケースのいくつかでは、HCIは直感的であり、どこにおいてもインテリジェントであり、また最終的には非常に役立つものとして、職場を従来と同様な、しかしまた同時に非常に異なった場所へと変えます。

永長純(ながおさ・じゅん)
シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 本部長
前職ではアジア太平洋地域を担当し、様々な国の企業にビジネスやコスト、人の観点から提案を実施。その経験を生かし、日本企業が国内とグローバル競争で勝つためにワークスタイル変革を含めたソリューションを提供するのがミッション。
小林伸睦(こばやし・のぶちか)
シトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション・推進マネージャー兼エバンジェリスト(総務省テレワークマネージャ)
イベントやセミナーなどの活動を通して働き方やワークスタイルの変革を推進しながら、「デジタルワークスペース」ソリューションのエバンジェリスト活動を行う。新しいテクノロジで市場の開発を目指す。

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