ドイツの大手銀行Commerzbankの研究開発機関であるMain Incubatorは、富士通の「デジタルアニーラ」を活用し、カーリース契約の証券について、自社のローンポートフォリオを最適化する実証(PoC)を行った。富士通が8月30日に発表した。
デジタルアニーラは、量子現象に着想を得た組み合せ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャー。現在の標準的なプロセッサーでは、複雑な組み合せ最適化問題の結果を導くには、非常に膨大な時間がかかるが、デジタルアニーラはデジタル回路を用い、量子現象に着想を得て開発されたもので、組み合せ最適化問題を高速に解くことができる。
自動車メーカーは、流動資産の管理を最適化するためにカーリース契約を証券化して投資家に売却し、投資家はこれらの証券をリスクなどの特性ごとにカテゴリー分けし、銀行などと取引する。今回の実証では、これらの発行された証券の最適な組み合わせをデジタルアニーラで導き出し、将来の見込みについて有益な結果を出すことができた。
また、ポートフォリオの中から数千のカーリース資産についての最適化に重点を置き、金額の制限や多様なリスクを伴う特定資産の比率制限など、幾つかの規制を含む重大な要件を考慮して実施された。
Main Incubatorでは、PoCの結果を受けデジタルアニーラの活用が極めて有望な結果をもたらすとしている。