電気機器メーカーのファナック、富士通、NTTコミュニケ―ションズ(NTT Com)は9月12日、「デジタルユーティリティクラウド」構想を実現するサービスを共同で開発していくと発表した。
デジタルユーティリティクラウドとは、工作機械業界で重複している社内業務の効率化と顧客サービスの高度化に向けて、デジタル革新を加速させる構想。この構想を実現させるため3社は、業界各社で共通利用できるクラウドサービスの開発に取り組み、普及を目指す。
近年、製造業では第4次産業革命が世界的に進む中、日本の競争力は徐々に低下している。 これまで国内の工作機械業界では、各社がそれぞれの得意分野を生かせる役割を担うことで、安定したビジネス環境を維持してきた。だが今後、グローバルにおける競争力向上を加速するには、デジタル技術の活用が急務となっているという。具体的には、保守診断など共通化できるサービスや社内業務の効率化を業界全体でユーティリティー(共通利用)化することが重要だとしている。
(出典:ファナック、富士通、NTT Com)
同サービスは、工作機械の稼動状況などの「設備データ」、モバイルデバイスなどで収集される作業ログなどの「人的データ」、マニュアルや仕様書などの「静的データ」をセキュリティ基盤で管理し、安全に利用できる仕組みを提供すると説明する。集約されたデータをAI(人工知能)エンジンにより、さまざまな目的に合わせて分析することで、同サービスを利用する工作機械企業が社内業務におけるコスト・開発リソースの削減や顧客サービスの高度化に活用できるようになる。結果として、注力すべき差別化領域へ予算や開発リソースを集中することが可能となる。また、工作機械企業やITベンダーが開発したアプリケーションなどを工作機械企業の顧客に向けて販売する「ストア機能」も提供することを予定している。
(出典:ファナック、富士通、NTT Com)
各社の役割は、ファナックが工作機械業界の立場でデジタルユーティリティクラウドに必要となる機能を企画し、エッジレイヤーに必要な機能を担当する。富士通はアプリケーションレイヤー、NTT Comは安全なデータ利用を実現するためのIT基盤やセキュリティ機能を担当する。
同サービスは、2020年4月から順次提供を開始する予定。将来的に合弁会社の設立も視野に入れ、3社でデジタルユーティリティクラウドを推進していく。