ファナック、富士通、NTT Comが工作機械業界向けクラウドで協業

大場みのり (編集部)

2019-09-13 10:52

 電気機器メーカーのファナック、富士通、NTTコミュニケ―ションズ(NTT Com)は9月12日、「デジタルユーティリティクラウド」構想を実現するサービスを共同で開発していくと発表した。

 デジタルユーティリティクラウドとは、工作機械業界で重複している社内業務の効率化と顧客サービスの高度化に向けて、デジタル革新を加速させる構想。この構想を実現させるため3社は、業界各社で共通利用できるクラウドサービスの開発に取り組み、普及を目指す。

 近年、製造業では第4次産業革命が世界的に進む中、日本の競争力は徐々に低下している。 これまで国内の工作機械業界では、各社がそれぞれの得意分野を生かせる役割を担うことで、安定したビジネス環境を維持してきた。だが今後、グローバルにおける競争力向上を加速するには、デジタル技術の活用が急務となっているという。具体的には、保守診断など共通化できるサービスや社内業務の効率化を業界全体でユーティリティー(共通利用)化することが重要だとしている。

(出典:ファナック、富士通、NTT Com)
(出典:ファナック、富士通、NTT Com)

 同サービスは、工作機械の稼動状況などの「設備データ」、モバイルデバイスなどで収集される作業ログなどの「人的データ」、マニュアルや仕様書などの「静的データ」をセキュリティ基盤で管理し、安全に利用できる仕組みを提供すると説明する。集約されたデータをAI(人工知能)エンジンにより、さまざまな目的に合わせて分析することで、同サービスを利用する工作機械企業が社内業務におけるコスト・開発リソースの削減や顧客サービスの高度化に活用できるようになる。結果として、注力すべき差別化領域へ予算や開発リソースを集中することが可能となる。また、工作機械企業やITベンダーが開発したアプリケーションなどを工作機械企業の顧客に向けて販売する「ストア機能」も提供することを予定している。

(出典:ファナック、富士通、NTT Com)
(出典:ファナック、富士通、NTT Com)

 各社の役割は、ファナックが工作機械業界の立場でデジタルユーティリティクラウドに必要となる機能を企画し、エッジレイヤーに必要な機能を担当する。富士通はアプリケーションレイヤー、NTT Comは安全なデータ利用を実現するためのIT基盤やセキュリティ機能を担当する。

 同サービスは、2020年4月から順次提供を開始する予定。将来的に合弁会社の設立も視野に入れ、3社でデジタルユーティリティクラウドを推進していく。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  2. ビジネスアプリケーション

    Google が推奨する生成 AI のスタートアップガイド、 AI を活用して市場投入への時間を短縮

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  5. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]