Gartnerが最近発表したレポート「AI and ML Developemt Strategies」によれば、人工知能(AI)と機械学習(ML)は現代のデータドリブンな企業にとって重要な技術になっている。回答者の60%近くは所属企業がAIを導入していると答えており、2020年のAIプロジェクトの数は2倍になると予想していた。
レポートによれば、AI導入の原動力となっているのは顧客体験(40%)と作業の自動化(20%)だ。
Gartnerの調査担当バイスプレジデントJim Hare氏は、「AIは、個人の行動、好み、あるいは購入パターンを理解することによって顧客体験を改善し、予測分析を行うことができる」と述べている。「これによってパーソナライズされたレコメンデーションや、適切な場所、適切な時間でのエンゲージメントを提供することで、顧客エンゲージメントを改善できる可能性がある」
またタスクの自動化は、貴重な労働時間を浪費する単調な繰り返し作業を省き、従業員の生産性を高める。そうした作業を自動化することで、従業員はより有意義な、価値のある作業に時間を費やせるようになる。
Forrester Researchのバイスプレジデントであり、最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)などを対象にサービスを提供している主席アナリストJ.P. Gownder氏によれば、AI導入の背景にあるもう1つの大きな要因はコストだ。「適切に導入されれば、AIは大きな投資対効果をもたらす」とGownder氏は述べている。
「典型的な例は、古いやり方で業務を行っている場合だろう。例えば、多くの機械を検査するために、フィールドサービスの技術者を送り込んでいる場合を考えてみてほしい」とGownder氏は例を挙げた。「しかし人工知能を使えば、機械がいつ故障するかを予測して、故障した後ではなくその前に技術者を送り込み、稼働時間を増やし、業務の中断を防ぐことができる」
AI導入のデメリット
多くのプロフェッショナルがAI技術には多くのメリットがあることを認識しているが、デメリットも知っておく必要がある。
AIを導入しても、組織に成功するだけの準備が整っていなければ成功しない。Gownder氏が執筆したレポート「Automation, AI, And Robotics Aren't Quick Wins」によれば、企業がよく犯す間違いの上位2つは、大きすぎる野心と過度な自動化だ。
このレポートによれば、短期間に自動化を進めすぎると、過度に自動化された顧客サービス体験が、顧客にないがしろにされていると感じさせ、顧客を置き去りにしてしまいやすい。また、野心が大きすぎると、費用や時間が無駄になりやすいとも指摘している。これは、AIの導入に近道はないからだ。
とは言え、途中の過程で失敗が起こることは避けられないものの、AI導入に成功したときのメリットにはそれだけの価値がある。