日立製作所(日立)は、AI(人工知能)を活用して医薬品の効果に影響を与える重要因子(バイオマーカー)を探索する「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」を10月4日に提供開始したと発表した。
同サービスでは、日立が新たに開発したディープラーニング技術を使用。人体の遺伝子情報や電子カルテなどの医療データから医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡単かつ便利な数式を組み立てることで、医薬品の効果を表す指標を自動生成する。
同サービスでは、まず医薬品メーカーが治験などで取得した医療データを日立のデータサイエンティストがAIを用いて分析。そして数百億以上の因子と数式の組み合わせパターンの中から、医薬品の効果を予測可能な定式化が行われた指標をバイオマーカー候補として高精度に検出する。これによりバイオマーカー候補の探索における統計処理に時間を割く必要がなくなり、バイオマーカーの医学・薬学的な検証や考察に専念することができる。
「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」で用いるAIの特徴(出典:日立)
従来のディープラーニングは、数万から数億にわたる人工ニューロンからなるネットワークに複数の因子を入力して別の因子を新しく生成することで、予測精度を飛躍的に高めてきた。しかし、ディープラーニングが生成した因子とその生成過程は人が理解するにはあまりにも複雑なため、分析結果の根拠を提示することが求められる医薬品の開発に適用するのは困難だった。
そこで日立は、人体の遺伝子や電子カルテなどの情報から医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡単勝つ便利な数式を組み立てることで医薬品の効果を表す指標の生成を可能にする独自のディープラーニング技術を開発。同社は2018年4月から医薬品メーカーなどと同技術を検証し、その有効性を確認してきたという。