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3年先を見越したITで将来の社会課題を解決--NSSOLが研究開発の成果を披露

大河原克行

2019-10-10 07:00

 日鉄ソリューションズ(NSSOL)は10月9日、同社システム研究開発センター(シス研)の研究内容を公開した。また、シス研では、研究開発の成果を社内に公開する「R-Day」を定期的に実施しており、今回、R-Dayの様子を社外に初めて公開した。

日鉄ソリューションズ 執行役員 システム研究開発センターの齋藤聡所長
日鉄ソリューションズ 執行役員 システム研究開発センターの齋藤聡所長

 同社では、最先端技術を研究開発する場として横浜のみなとみらい地区にシス研を設置し、 ソフトウェア開発技術における技術検証などにいち早く取り組んできた経緯がある。現在、200人以上の体制で、3年先を見越したITの評価・検証を行うとともに、それに対する生産性の向上やリスクの低減を研究。その技術をシステム開発やプロジェクトにフィードバックする役割を担う。また、研究を行うだけでなく、研究員自らがプロジェクトに参画することで、実践を通して技術を普及させることにも取り組んでいるという。

 日鉄ソリューションズ 執行役員 システム研究開発センターの齋藤聡所長は、「ESG(環境、社会、ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが、企業活動において重要になっており、シス研では、『世の中を技術でより良くする』ことを目指している。持続可能な社会の実現に向けて、将来の社会課題を解決するために、課題を抽出・理解・分析する力と、情報技術をエンジニアリングする力を研き究めるのがシス研の運営理念。3年後の問題や課題を解決する技術の習得を行う『研究開発』、研究成果の実課題への適用を行う『事業対応』、次世代人材の排出を行う『人材』の3点から活動を行っている。研究開発のうち、3割ぐらいを事業対応できることを目指している。論文などにするだけではなく、プラットフォーム、アーキテクチャー、プロセス、システムといったように、課題にすぐに適用できる形で成果が提供できることを重視している」と説明する。

システム研究開発センターの運営理念
システム研究開発センターの運営理念

 年間15億円の研究開発に加えて、案件支援として顧客からの投資を得ており、研究テーマは、研究員からのボトムアップ、会社からのトップダウンを組み合わせて選定。「これまでのIT領域に対するブラッシュアップと、これからのIT領域に向けた取り組みの両方に研究投資をしている。また、約8割は事業部門とのシステムインテグレーション(SI)案件などだが、残りの約2割はシス研が直接顧客と共同研究を行ったり、PoC(実証実験)を行ったりしている」という。

システム研究開発センターのポジション
システム研究開発センターのポジション

シス研が取り組む、4つの注力領域

 「DataOps-データ活用ライフサイクルの実現」では、「DataOpsとは、観察、推測、決定、行動という知的作業をITを活用して支援するための研究であり、データを蓄積するだけではなく、分析して事業への貢献を目指している。データ活用のライフサイクルを効率的に回しながら、事業への貢献度とその速度を持続的に高めていくことになる。シス研では、一連のデータフローのマネジメント、活用状況を分析して改善・拡大していくこと、データの価値を素早く精度良く届けることの3つが大切だと考えている。DataOpsを活用することで、ビジネス価値を確認するまでの期間を短縮でき、改善・高度化に向けた活動に関わる時間を増やすことができる」(日鉄ソリューションズ 統括研究員の瀧本秀典氏)とした。

DataOpsの実現に向けての取り組み
DataOpsの実現に向けての取り組み
DataOpsのプラットフォームを活用した効果
DataOpsのプラットフォームを活用した効果

 次期システム開発基盤である「DevAIOps-AIによるシステム開発の高度化への挑戦」では、開発者向けにプライベートクラウド上で提供する「Tetralink」について説明。「システム開発から生まれる開発ビッグデータを集約し、音声認識や自然言語処理、機械学習などを活用することで、AI(人工知能)支援型の開発を加速。AIによる品質検査や改善方法を提案できる。プロジェクトマネージャーやリーダーが活用するほか、開発プロジェクトのリスク把握と予兆検知にも活用し、SIer(システムインテグレーター)としての実力を図るための指標にも生かしたい。現在、プロトタイプが完成している」(日鉄ソリューションズ SDCセンターの小野卓彦所長)などとした。

AI支援型開発のメリット
AI支援型開発のメリット
AI支援型開発のプロトタイプ
AI支援型開発のプロトタイプ

 コンテナーやマイクロサービスを活用した「SIerのDXシステム開発の方法論~最新テクノロジーを用いたアーキテクチャーとプロセスの適用」としては、「DX(デジタル変革)に取り組もうとしている大手企業では、アイデアを具体化できないといった課題のほか、新たな技術の習得に時間がかかったり、検討のためのリソースを確保できなかったりという課題がある。さらに、その先でPoCを実施するには、アジリティー(機敏さ)と信頼性の両立が難しいという課題がある。DXの事業拡大には信頼性を損なわず、アジリティーを実現することが大切であり、そのためにはクラウドネイティブとマイクロサービスの2つが重要である。クラウドネイティブを利用した新しいシステム開発・運用手法の確立と、大規模システムにおけるマイクロサービスの設計手法の確立によって、これらの課題解決に貢献できる」(日鉄ソリューションズ 統括研究員の若林耕平氏)とした。

アジリティーと信頼性の両立イメージ
アジリティーと信頼性の両立イメージ

 モダナイゼーションへの取り組みとしては、「2025年の崖を乗り越えるために、今、システム開発でできること」として、日鉄ソリューションズ 統括研究員の永澤敦彦氏が説明。「2025年に向けて、多くの企業において技術的負債が残っている。だが、これを減らしていくことだけでなく、追加開発をどう簡単にするかに取り組まなくてはならない。しかし、追加開発そのものの効率化、技術的負債を減らすことはなかなか効果が出にくい。即効性があるのは既存機能を維持した効率化である。これによって、全体の40%をDX予算に振り分けることができると試算している」などとした。

既存機能維持の作業
既存機能維持の作業

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