松岡功の「今週の明言」

NSSOL新社長が会見で見せた「デジタル化への危機感と覚悟」

松岡功

2019-04-19 10:08

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

「デジタル化の波に乗り切らないと将来はない」
(日鉄ソリューションズ 森田宏之 代表取締役社長)

日鉄ソリューションズの森田宏之 代表取締役社長
日鉄ソリューションズの森田宏之 代表取締役社長

 日鉄ソリューションズ(NSSOL)が先頃、4月1日付で同社の社長に就任した森田氏の記者会見を開いた。冒頭の発言はその会見の質疑応答で、NSSOLはデジタル化の波に乗っていけるか、と聞いた筆者の質問に答えたものである。

 NSSOLは、親会社の日本製鉄が4月1日付で新日鉄住金から社名変更したことに伴い、新日鉄住金ソリューションズから日鉄ソリューションズへと社名を変更。これと新社長就任が同じタイミングとなった。略称のNSSOLは変わらない。

 森田氏は1958年7月生まれの60歳。一橋大学商学部を卒業後、1982年に新日鉄に入社。人事部に所属していた1989年1月に新日鉄情報通信システム(現・日鉄ソリューションズ)へ出向し、同社の人事制度づくりを担当。1997年には同社の米国法人の立ち上げも担った。2001年以降、金融ソリューション事業や流通・サービス事業を担当する中で、2012年に取締役、2013年には上席執行役員に。2016年に取締役 常務執行役員 営業統括本部長を経て、今回の新社長就任となった(図参照)。

図:森田氏が会見で示した自身の略歴
図:森田氏が会見で示した自身の略歴

 システムインテグレーターとして活動してきた同社は今、ビジネスモデルとして、従来の受託開発を中心とした「NSSOL 1.0」、システム企画の段階から顧客との“共創”する「同2.0」、人工知能(AI)やIoTなどの技術を駆使してデジタル変革を支援する「同4.0」の3段階を設定し、展開を図っている。

 このビジネスモデルからすると、NSSOL 4.0でデジタル変革の支援を推進していく形になっているが、筆者は会見の質疑応答で、NSSOLはデジタル化の波に乗っていけるのか、顧客が現時点でNSSOLにデジタル変革を支援してほしいと思うか、と聞いてみた。すると、森田氏は次のように答えた。

 「デジタル化への対応については、相当ふんどしを締めてかからないといけないと思っている。デジタル化の波には親会社も含めて乗り切らないと、将来はないと考えている。まずは親会社のビジネスに対して、最先端のデジタル技術によってどのように貢献できるか、という大きな命題がある。そこでまず明確な成果を示さないと、私どもの将来を開いていくことはできないとの思いで、今、懸命にさまざまな取り組みを行い、技術も蓄積しつつある」

 冒頭の発言はこのコメントから抜粋したものである。会見の最後、雑談っぽい雰囲気になった中で、森田氏はざっくばらんに「『橋本』からは、カネは出すから(デジタル変革を)どんどんやってくれと言われている」とも。「橋本」とは、森田氏と同じ4月1日付で日本製鉄の社長に就任した橋本英二氏のことである。この一言とその時の森田氏の表情に、筆者は同氏の確固たる自信を感じた。経営の舵取りに大いに注目しておきたい。

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