NECは、人工知能(AI)を活用したリハビリ計画作成の技術実証を北原病院グループ(KNI)の北原リハビリテーション病院において実施した。
その結果、経験の浅いリハビリスタッフによるリハビリ計画作成業務の質を経験年数5年以上でスキルの高いスタッフ(ベテランスタッフ)と同程度まで向上するとともに、リハビリ計画作成に要していた業務時間を全体で約60%短縮することに成功した。
従来リハビリ計画の作成では、経験の浅いスタッフが作成した計画をベテランスタッフが見直すという運用をしており、患者1人当たり約50分要していた。しかし今回の技術実証では、この業務を約20分で行えると確認された。回復を促すためのリハビリサービスの提供を効率化することが可能となり、限られた財源と人材で高齢化によるリハビリニーズの増加に持続的に対応できるようになると期待される。
リハビリ計画作成業務には、「患者の回復度の予測」「リハビリ目標の設定」「リハビリ介入プログラム作成」の3つのプロセスがある。今回の実証では、ベテランスタッフと経験の浅いスタッフにおいて、リハビリ作成時間の開きや作成した計画書の質への影響が大きい「患者の回復度の予測」と「リハビリ目標の設定」の2つのプロセスに着目し、KNIのベテランスタッフのドメインナレッジを組み込んだNEC独自のAIを活用した。
リハビリの回復度を予測する技術の活用では、入院3日目ごろまでの電子カルテデータから、退院までにどの程度まで回復するかをKNIのベテランスタッフと同程度の精度で予測できた。
リハビリの回復度を予測する技術のイメージ(出典:NEC・KNI)
またリハビリの目標候補を表示する技術の活用では、入院3日目ごろまでの電子カルテデータから、患者の状態に合わせたリハビリの長期・短期目標の候補の表示を実施。リハビリスタッフは、AIが表示したリハビリ目標の候補を参考に目標を設定できるため、従来は患者1人当たり約30分かかっていたリハビリ目標設定が経験の浅いスタッフだけでもベテランスタッフと同程度の質のリハビリ目標設定を約10分で作成できるようになった。