近年、Amazon Web Services(2019年8月に東京リージョンで発生)やMicrsoft Azure(2017年3月に東日本リージョン、2017年10月に北欧州データセンターで発生)のようなクラウドサービス事業者でも、データセンターの空調設備の障害に起因した、大規模障害の発生の例がありました。空調に関しては、まずは「N+1以上で冗長化」されていることをもとにして選定を行うべきでしょう。
ネットワーク
データセンターは共有、占有のネットワークを提供しており、帯域に基づいてコストをチャージしています。引き込みしている通信事業者(キャリア)はデータセンターによりますが、複数のキャリアの引き込みや、大容量で高速なインターネットバックボーン直結、パブリッククラウドとの専用線接続などのサービスを提供していることが一般的になっています。
また、同じグループ間のデータセンターの相互接続により、メインサイト、バックアップサイト間での通信を支援しているものもあります。データセンター事業者の提供するネットワークやサービスに構内から物理的に直結することで、大容量、高品質な回線を提供できることをアピールポイントにしています(通信事業者の運営するデータセンターなど)。
特に今注目されているのは、パブリッククラウドとの直接接続です。データセンターに配置したオンプレミス/プライベートクラウド環境と、パブリッククラウド環境間の高速で安定した利用のために、構内にパブリッククラウドとの専用線の接続拠点を設けているセンターが増えています。対象とするパブリッククラウドもAWSやAzureだけでなく、GCP、Oracle Cloudと提供を広げ、競争を図っています。
まとめ
今回はデータセンターの基本スペックのうち「広さ」「契約形態」「ロケーション/アクセス」「コスト」、そしてデータセンター特有の項目である「ラック当たり電力」「空調設備」「ネットワーク」について見てきました。次回は後編として、「建物・耐障害性」「オペレーション(運用代行)」「セキュリティ設備」、そして「データセンターの規格」についてご紹介していきます。
- 細川涼子(ほそかわりょうこ)
- Dell Technologies(EMCジャパン株式会社)ITXコンサルティング部
- サーバー構築、データベースサポート職などを経て2006年EMCジャパン入社。ストレージ製品の導入を経て2009年より現職。プライベートクラウドの企画、災害対策システムの企画、データセンター移転の計画策定や実施支援を多く手掛ける。