海外コメンタリー

マイクロソフト「Azure Quantum」で提携--Honeywellの量子コンピューティング責任者に聞く

Tiernan Ray (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-11-11 06:30

 Microsoftは、フロリダ州オーランドで開催された「Microsoft Ignite 2019」カンファレンスで、クラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」上の量子コンピューティング能力向上を目的に複数の企業と提携したと発表した。産業機器大手のHoneywellもそのなかの1社だ。

量子コンピューター
Honeywellのイオントラップ型量子コンピューターは、イオンの冷却やイオンの状態を測定できるようにするための、イオン操作用の真空チャンバーのネットワークで構成されている。これは、論理ゲートを構成するために、半導体を用いて電子の動きを操作することとよく似ている。
提供:Honeywell

 この発表について、Honeywellにおける量子コンピューティングの責任者であるTony Uttley氏が米ZDNetに語ってくれた。同氏は、量子コンピューティングがどのようなかたちで進化していき、従来型コンピューティングを支援する存在から、将来的に従来型コンピューティングを置き換える存在になるのかを説明するなかで次のように述べた。

 「Honeywellが量子コンピューティングに携わっていることさえ知らない人々のために述べておくと、われわれは今や十分に成熟し、真の競合企業になっていると考えてもらいたい」(Uttley氏)

 Microsoftが新たに提供する製品は「Azure Quantum」だ。

 Googleは10月、「量子超越性」を実証したと英科学誌「Nature」で発表した。Uttley氏に対して、量子コンピューティングは量子超越性を示す必要があるかどうかについて尋ねたところ、それは複数の段階を経て洗練されていく、科学の進化に関する問題だという答えが返ってきた。

 Uttley氏は「われわれは、3つの時代があると考えている」と述べた。「最初の段階は、量子コンピューターが(従来型コンピューターの)コプロセッサーとして機能し」、従来型コンピューターが実行する作業の一部を高速化するというものになる。次の段階は、「従来型では非実用的」という時代であり、一部の作業は従来型のコンピューターでも実現できるが、量子システムで実行する価値がある可能性もある、もしくは劇的な高速化のためには量子マシンで実行した方がよいかもしれないというものだ。

 最後の段階は、「従来型では不可能」という時代だ。こういった処理はおそらく、大きな数値の素因数分解など、従来型コンピューターでは現実的に実現不可能なものになる。


Tony Uttley氏はHoneywellの「量子ソリューション」部門の責任者だ。同部門はHoneywellの量子コンピューティング用のハードウェアとソフトウェアを製造している。
提供:Josh Wood氏(Honeywell)

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