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企業視点で解説するChromium版Edgeブラウザー(前編)

山本雅史

2020-01-10 06:00

 Microsoftは、2018年末にWindows 10のデフォルトブラウザー「Edge」をオープンソースのChromiumベースにすると発表し、2019年の1年間をかけて開発を進めてきた。Chromium版のEdgeは、2020年1月15日にWindows Updateで配布される予定であり、今後は多くのWindows 10ユーザーがChromium版Edgeを使うことになるだろう。本稿では2回に分けて、特に企業ユースの視点からChromium版Edgeを解説していく(今回は前編、後編はこちら)。

ChromiumベースにEdgeが変わり、ロゴのデザインもChromiumとEdgeを融合させたモノになっている(MicrosoftのカンファレンスIgniteの資料より。以下同じ)
ChromiumベースにEdgeが変わり、ロゴのデザインもChromiumとEdgeを融合させたモノになっている(MicrosoftのカンファレンスIgniteの資料より。以下同じ)

ChromiumとEdgeとは?

 新しいEdgeで採用されるChromiumは、Googleが立ち上げたオープンソースプロジェクトで、Googleのブラウザー「Chrome」のベースとなっている。

 Microsoftは、Windows 10で標準のウェブブラウザーをInternet Explorer(IE)からEdgeに移行した。Edgeでは、レンダリングエンジンとしてIEで採用していたTridentから、ウェブ標準(W3C)準拠のEdgeHTMLに変更された。EdgeHTMLは、Microsoftが全く新たに開発したものではなく、Tridentからウェブ標準ではない部分を排除して、新たにウェブ標準の部分を付け加えたものだった。また、JavaScriptエンジンには、IEで使われていたChakraエンジンが引き続き採用された。一方でChromiumは、HTMLエンジンにはAppleが中心となって開発されているWebKitから分岐したBlink、JavaScriptエンジンにはV8が使われている。両方ともオープンソースとして開発されているものだ。

最新のブラウザーに必要とされている機能を備える
最新のブラウザーに必要とされている機能を備える

 しかしEdgeは、Windows 10の標準ブラウザーであるにもかかわらず、あまり使われていない状況だった。個人ユーザーにおいては、EdgeよりもChromeの方がウェブ標準に準拠しており、多くのウェブサイトもChromeでの動作を念頭にしているためだ。また、企業においては、現状でIE準拠のイントラネットサイトが存在するため、Edgeに移行できなかった。

 このためMicrosoftも、企業がIEからEdgeに移行するのに時間がかかると考え、Windows 10ではEdgeとIEの両ブラウザーを搭載した。Edgeで表示できないIE準拠のウェブサイトは、Edgeのメニュー画面からIEを起動するようにしていた。実際に使ってみても、EdgeからIEを起動する手順やUIの変化から使い勝手が良いとはいえず、IEを標準ブラウザーのままにしている企業も多かった。

 そこでMicrosoftは、EdgeをChromiumベースに変更し、Chromium版EdgeからシームレスにIEを利用できるように作り替えた。Chromium版のEdgeは、EdgeそのままのUIで、IEのHTMLエンジンのTridentやJavaScriptエンジンのChakraを使用できるようになっている。この点は企業向けの機能のため、個人ユーザーが気軽に利用できるようにはなっていない。

 また、Chromium版EdgeはWin32アプリケーションとなり、MicrosoftにとってはこれまでUWP(Universal Windows Platform)ベースで提供されていたEdgeから一歩後退したことになる(MicrosoftにはUWPベースのアプリを増やし、Win32アプリケーションから全面的に移行したいと思惑があった)。

 MicrosoftがChromium版Edgeの導入を決断し、推し進める理由の一つに、マルチデバイス化がある。PCが唯一のデジタルデバイスではなくなり、スマートフォンやタブレットなども複数持ち、使いこなす時代になっている。こういった環境下では、デバイスが変わってもシームレスに使えるブラウザーが必要とされている。

Edgeは、Windows 10のメジャーアップデートに合わせてバージョンアップしているため、Edgeのフラグメンテーションが問題になっていた
Edgeは、Windows 10のメジャーアップデートに合わせてバージョンアップしているため、Edgeのフラグメンテーションが問題になっていた

 Microsoftは、EdgeブラウザーをAndroidやiOS向けにもリリースしている。実は、Android版のEdgeブラウザーではChromiumをベースとしており、iOS版にはWebKitを使用している。ある意味で、ようやくWindows 10版のEdgeもこれらにそろうようになったといえる。これによりChromium版Edgeは、Windows 10(32/64ビット)だけでなく幅広いプラットフォームに移植され、無償提供される。

Chromium版Edgeは、2020年1月15日にWindows 7/8/10向けと、Windows Server 2008R2/2012/2012R2/2016/2019版、macOS版がリリースされる
Chromium版Edgeは、2020年1月15日にWindows 7/8/10向けと、Windows Server 2008R2/2012/2012R2/2016/2019版、macOS版がリリースされる

 現状でChromium版Edgeは、Windows 10、Windows 8/8.1、Windows 7、Windows Server 2016以上、Windows Server 2008 R2~2012 R2、macOS、iOS、Androidなどに提供されている。さらに、ARM版のWindows 10やLinux版の提供も予定されている。

 特に注目されるのは、2020年1月14日に延長サポートが終了するWindows 7やWindows Server 2008 R2などのプラットフォームに対してもChromium版Edgeがリリースされることだ。Microsoftは、延長サポートが終了してもWindows 7やWindows Server 2008 R2などが残ることを考え、IEではなくセキュリティの高いChromium版Edgeを提供したいという方針なのだろう。同社としては、オープンソースのChromiumコミュニティーへ積極的に関与し、自社が持つテクノロジーやリソースを提供してChromiumの改良、改善に寄与している。

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