2020年に入り、いろいろなメディアが未来予想を立てているが、“2020”という一つの節目でもあり、次の10年間、2030年までのコンピューターの変化を複数回にわたって予想してきた。今回は、コンピューターを取り巻くネットワーク通信の展望を占う。
5Gネットワーク
2019年は、世界的には「5G元年」と言われ、2020年は東京五輪に合わせて5G(第5世代移動体通信)が本格的に立ち上がる。日本では2020年が5G元年になるだろう。5Gの特徴は、10Gbpsを超えるスピード、低遅延、多接続などといわれている。
2020年の5Gは、現状のLTEを少し高速化したぐらいのパフォーマンスになりそうだ。個人ユーザーには、当面の間あまりメリットはないだろう。将来的には、24~52GHzのミリ波帯域(日本では28GHzが割り当てられている)を使えば、伝送スピードの高速化が図られる。ただ、ミリ波帯域は、現在の移動体通信では利用されていなかったため、いろいろな技術開発が必要になる(将来的には、3Gや4Gの帯域を5Gで置き換えていくと見られる)。
また、ミリ波帯は電波の直進性が高く、遠距離までは届かない。このため、ミリ波帯でモバイルネットワークを構成するには、現在の数百倍の数の基地局が必要になる。いってしまえば、都市部の信号機ごとに基地局を配置するイメージだ(その分基地局はコンパクト化している)。地下街やビル内などにもミリ波の電波は入り込まないため、それぞれの場所に小型基地局を設置していく必要もある。
こういったことを考えれば、本格的に5Gが普及するのは、2025年頃になるだろう。その頃でも、ミリ波帯の基地局は都市部が中心になりそうだ。郊外や人口密度の低い地方は、遠距離まで電波が到達しやすい6GHz以下のSub6などが使われると思われる。
また、2030年には間に合わないが、5Gの次世代となる6Gの研究・開発も進んでいる。6Gでは、100Gbpsというスピードをターゲットにしている。これは5Gの10倍、4Gの1万倍のスピードに当たる。
5Gは、スピードだけでなく、低遅延、多接続性が特徴となる(総務省「第5世代移動通信システムの今と将来展望」より)
5Gは、単なる通話やデータ通信だけでなく、さまざまな産業にインパクトをもたらすインフラとなる(総務省「第5世代移動通信システムの今と将来展望」より)
日本では、2019年9~11月(ラグビーW杯期間中)を5Gのプレサービスとして位置づけ、2020年の東京五輪開催前に本サービスへと移行していく(総務省「第5世代移動通信システムの今と将来展望」より)