当然ながら法務部門の業務負担軽減や社内資産を活用した営業活動にもつながる。Sansanは「法務部門に閉じていた契約情報をオープンにすることで、契約情報を生かしたコミュニケーションや営業活動を考えている。ABM(アカウントベースドマーケティング)の浸透に伴い、企業間のコミュニケーションで判断する軸が増え始めた。ここに契約情報を生かせる」(尾中氏)とオプションの利点を説明した。
企業ベースで締結した契約書を閲覧できる。社内関係者名も表示するため、法務部門への問い合わせも軽減する
Sansan 共同創業者 Sansan事業部長 富岡圭氏
個人向け名刺管理サービス「Eight」の利用者数は250万人、法人向け名刺管理サービス「Sansan」の利用法人数は6200団体を超えた。当初は営業部門やマーケティング部門の連携ツールだったSansanだが、2019年10月30日にはリフィニティブと共同でコンプライアンスチェックや反社(反社会的勢力)チェック機能の実装を発表。当時Sansanは「企業のリスク管理に貢献できる」と説明している。
今回の弁護士ドットコムとの協業についてSansanの共同創業者でSansan事業部長 富岡圭氏は「法務部門でも(Sansanが)役立つソリューションにする」目的がある。当面は既存の契約企業を対象にアプローチし、利用拡大を目指す。
弁護士ドットコム 取締役 クラウドサイン事業部長 橘大地氏
対する弁護士ドットコムのクラウドサインは「企業間の合意や権利・義務に必要な『契約』を締結する選択肢を増やしたい」(同社取締役 クラウドサイン事業部長 橘大地氏)を目的に、2015年10月19日からサービス提供を開始。リリース1年後から市場に浸透し、現在では導入社数は6万社を突破。東京海上日動は印刷代と輸送コストをゼロにし、タマホームは年間10万件におよぶ契約書の一元管理を実現した。
2019年10月1日には三井住友ファイナンシャルグループとの合弁会社「SMBCクラウドサイン」を設立して、国内電子契約市場の更なる獲得を目指している。今回の発表のその一環だ。
同社の調査によれば、法務部門が請け負う業務にはいくつかの課題があるという。過去の契約内容を踏襲して新規契約を結ぶケースや、担当者の判断が締結を左右するなど属人的な業務になりやすく、人事評価面でも大型案件を請け負った担当者に評価が集まるなど「アナログな定性評価になりがちだ」(橘氏)。さらには高負荷業務による人為的ミスの発生を払拭できると同社は説明する。