山梨県小菅村、北都留森林組合、boonboon、さとゆめ、NTT東日本は、小菅村山間部にIoTを実装し、林業に関する課題解決やSmart Villageの実現に向けた実証実験を行う。実施期間は、2月~9月。
なお同実証では、林業の共通課題である「林業従事者の労働災害抑止」「シカ等の獣害対策」に対し、山間部を効率的にカバーする高出力の独自LPWA(Low Power、Wide Area)を用いて、従事者が緊急時の救助要請をできるようにする仕組みや害獣捕獲時の通知機能を提供し、効果を検証していく。
林業従事者数は30年間で約3分の1に減少し、2015年時点で4万5000人とされているが、伐木作業中の倒木事故など林業従事者の労働災害も多く、死傷率は全産業平均の約10倍と最も高い。また持続可能な森づくりや災害対策の観点から、伐採後の植林や育林の必要性が高まっている一方、シカなどによる新苗などへの食害が深刻になっている。こういった課題は、IoTの活用により抑止や効率化が期待されるが、定住地域から離れた山間部ではIoTを活用するための通信環境自体が整っていないことが多い。こういった課題を受けて、NTT東日本らは実証実験を行うことになったと説明する。
実証実験の概要(報道発表社:NTT東日本)
今回の実証では、森林の面積が全体の95%を占める小菅村においてLPWAの規格で最大送信出力の250mWの機器で長距離通信を可能にすること、中継機のメッシュマルチホップ機能により広範囲へのエリア拡張をすることで、従来無線の届きにくかった山間部のネットワーク環境を構築する。さらにネットワークにセンサーやカメラなどのIoT技術を活用することで、安全かつ効率的な林業経営を目指すとしている。
労働災害抑止の面では、双方向通信可能な子機や専用アプリを活用し、SOS発信、位置情報把握、チャットコミュニケーションの検証を行う。
また獣害対策では、子機に内蔵されたセンサーが罠の作動を検知した際、あらかじめ指定した宛先に捕獲通知がされるようにして、捕獲の早期発見・駆け付けや巡回ルートの最適化を図る。加えて巡回が困難な場所には、カメラを設置し、捕獲有無や害獣種別・大きさなどを画像で確認することで、巡回稼働の効率化を図っていく。