明治大学が人工知能(AI)を活用した翻訳サービス「Zinrai Translation Service」を採用。2020年1月から事務系職員約1000人が活用し、生産性とスピードの向上、作業負荷を軽減したという。2月4日、サービスを開発、提供する富士通が発表した。
約350の海外協定校があり、外国人留学生を約2000人受け入れているという明治大学。文部科学省が定めるスーパーグローバル大学創成支援事業では2014年に日本のグローバル化を牽引する大学を対象としたタイプBとして採択されるなど、グローバル化を進めているという。
各種協定の締結、外国人留学生の受け入れや外国籍教員採用などが増え、翻訳が必要な職員業務が増加。各部署の職員による個別対応のため負担が増え、翻訳の品質も課題だったとしている。
Zinrai Translation ServiceのAPIを活用し、職員専用のポータルサイトと連携。マニュアル、ガイドライン、協定書、契約書といった翻訳したい文章を入力、もしくはファイルをアップロードすれば、日本語と英語、日本語と中国語をそれぞれ双方向翻訳。リアルタイムに結果を出力できるという。
テキスト翻訳イメージ(出典:富士通)
翻訳文章を日本語に再翻訳する機能も実装し、確認作業を効率化。明治大学固有の約800語の名詞、専門用語を辞書登録し、表現の統一性も向上させたとしている。
Zinrai Translation Serviceは、富士通の人工知能「Zinrai」のラインアップの一つとして、みらい翻訳(渋谷区)と協業して提供するクラウドサービス。深層学習(ディープラーニング)で大規模な対訳データを教師データとして用いている。
テキストのほか、PDFやMicrosoft Officeファイルがレイアウトなどを変えずに自動で翻訳可能。20ページ程度のPowerpointプレゼンテーションの場合、わずか数分で翻訳できるという。
資料翻訳イメージ(出典:富士通)
みらい翻訳が国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同開発したニューラル機械翻訳技術と、みらい翻訳プラットフォーム技術を活用。自然な翻訳が可能で、日本語、英語間ではTOEIC 960点、日本語、中国語間では日本語能力試験N1合格者のビジネスパーソンと同等の翻訳ができるとしている。
1カ月で30万文字まで翻訳できるベーシックプランは税別月額利用料16万5000円。75万文字まで翻訳できるスタンダードプランは33万円。200万文字まで翻訳できるアドバンスドプランは66万円。オンプレミス版や独自システムへの埋め込みなどの用意もあるという。
プラン一覧(出典:富士通)