セキュアな選挙実現へ--初の実地テストが行われたマイクロソフトの「ElectionGuard」

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-02-21 07:30

 米ウィスコンシン州フルトンの住民は米国時間2月18日、Microsoftのソフトウェア「ElectionGuard」を使った投票機でウィスコンシン州最高裁判所の裁判官選挙の投票を行った。

Microsoft ElectionGuard
7月にコロラド州でMicrosoft ElectionGuardのデモが行われた。
提供:Microsoft

 今回使われたのは、米国の選挙でMicrosoftの新しい投票用ソフトウェアを使った初めての投票機であり、このシステムは2019年に発表されてから初めての実地テストに臨むことになった。

発表から実際の選挙でのテストまでわずか9カ月

 ElectionGuardはソフトウェア開発キット(SDK)で、MicrosoftはGitHub上で無料で提供している

 このプロジェクトは、世界最高峰の暗号学者たちによって作られた、強力な暗号を使用しており、脆弱性のないよう徹底的に監査された投票用のソフトウェアを作ることを目指している。

 この数年で、複数の投票機メーカーの(クローズドソースの)ソフトウェアに重大な脆弱性が見つかったことを報じる記事が相次いでいた。

 同社は、各投票機メーカーに、陳腐化して安全ではなくなっているシステムの代わりにElectionGuardを導入することを促すため、意図的にこのソフトウェアをオープンソースとしてリリースしたようだ。

 米国の選挙管理当局者からは好意的に見られているこのプロジェクトは、発表されてから、実際の米国の選挙で使用される試験的プログラムの実施まで9カ月という極めて速いペースで進んでいる。

 MicrosoftがElectionGuardを発表したのは2019年5月だったが、7月には「Aspen Security Forum」で少数の聴衆の前で最初の投票機のデモが行われた。9月にはGitHubで最初のElectionGuardコードがリリースされ、10月にはバグ報奨金プログラムがスタートしている。

今回のテストでは数百件の投票のみ

 今回、フルトンに持ち込まれたElectionGuardを利用した投票機が処理するのは数百票だけだが、このテストは投票機メーカーや米国の選挙管理当局者に、このソフトウェアを試してみる価値があるか、大規模な導入に耐えられるかどうかを判断するための情報を提供する重要な機会になる。

 Microsoftは、使いやすさ、アクセシビリティ、ユーザーフレンドリーなインターフェースを重視しながら、ゼロからこのソフトウェアを設計しているため、ElectionGuardを使うのは難しくない。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  2. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  3. 運用管理

    IT管理者ほど見落としがちな「Chrome」設定--ニーズに沿った更新制御も可能に

  4. セキュリティ

    シャドーITも見逃さない!複雑化する企業資産をさまざまな脅威から守る新たなアプローチ「EASM」とは

  5. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]