RPAはエンタープライズアーキテクチャで存在感を示せるか
4つのメソドロジーのうち、1つ目の「UiPathビジネスメソドロジー」は、UiPathの導入を決定し、プロジェクトのための戦略立案、組織化、ガバナンス構築、業務分析を行うためのメソドロジーである。PoCステージからパイロットステージにかけて、組織におけるRPA実装モデルの定義や、センターオブエクセレンス(CoE)の構築、ガバナンスの検討などに活用できる。
2つ目の「UiPath PoCメソドロジー」は、概念実証(PoC:Proof of Concept)を実施し、早期のリスク対策や効果検証を図るために、準備、検証、報告を行うためのメソドロジーである。PoCステージの後半からパイロットステージにかけて、PoCとして早期にリスク評価や実現可能性検証、効果測定を実施するケースに加えて、部分的に業務自動化の開発、運用を実施する際の要件定義や開発、テストなどを実施する際にも活用できる。
そして、3つ目と4つ目の「UiPath導入メソドロジー」は、強化ステージから制度化ステージにおいて、社内におけるRPAの他部署展開や規模拡大の進行、ベストプラクティスの組織内定着化を図り、自動化を全社展開する際に活用できる。UiPath導入メソドロジーは、開発のスタイルに応じて「プロフェッショナル開発」と「EUC」の2つに分かれており、プロジェクトの開発スタイルに応じてどちらかを選択するか、あるいは両方をカスタマイズして利用することも可能となっている。
UiPathメソドロジーをダウンロードすると、4つのメソドロジーのフォルダに分かれており、それぞれのフォルダに、タスク定義・タスクフロー、ドキュメントテンプレート、ドキュメントサンプルが含まれている。(図2)
図2:タスク定義・タスクフロー、ドキュメントテンプレート、ドキュメントサンプル(出典:UiPath)
なお、同社によると、UiPathメソドロジーを効果的に活用するためには、UiPathメソドロジーの全容を正しく理解し、その上でプロジェクトの規模や目的に合わせて取捨選択を行うことが重要だ。このため、UiPathメソドロジーを理解し、効果的にプロジェクトに活用できるよう、UiPathメソドロジーのオンライントレーニングを今春以降、公開する予定としている。
以上がUiPathメソドロジーの発表内容だが、筆者が今回この動きを取り上げたのは、RPAのこうした普及促進策が登場してきたことと同時に、RPAソフトウェア市場においてUiPathの勢いを強く感じたからだ。MM総研の調査によると、同社は国内大手企業でのRPAブランド別浸透率でシェアトップを獲得している。
そんなUiPathの幹部に先頃、話を聞く機会があった。印象的だったのは、「RPAはエンタープライズアーキテクチャにおいて、まだ明確なポジションが決まっていない。ミドルウェアでもアプリケーションでもないRPAというポジションを確立し、広く認知されるように尽力していきたい」との発言だ。今回のUiPathメソドロジーの無料公開によるRPAの普及促進策は、こうした強い思いに裏打ちされていると感じた。果たして、奏功するか。注目していきたい。