契約マネジメントの始め方--プロジェクトとして契約を一元管理するメリット - (page 2)

酒井貴徳 (Holmes) 須貝崇史 (Holmes)

2020-03-30 07:00

契約書(文書)管理--あらゆる情報を集約

 ホームズクラウドの大きな特徴は、契約書に紐づくあらゆる情報を一画面上に集約する点にある。事業部門と法務部門とのコミュニケーション、事業部門から法務部門へのレビュー依頼(タスク)、承認プロセス、アクティビティログ……こういった契約書に関する情報をすぐに確認できる。

 例えば「担当が変わったので引き継ぎをしなければ」というときでも、契約書の画面を開けばすべての経緯がそこに保存されている。メールやチャットのログをたどったり、当時の担当者にヒアリングをしたりという手間をかけないで済むようになる。

 また、契約書をあとから探しやすいよう、契約書にさまざまな“検索因子”の指定もできる。

 多くの企業では、契約書はデータベースに保管し、契約書の類型、当事者、契約期間、契約によって取引される対象物、その他取引の概要といった契約書を探すための検索情報をExcelなどの管理台帳に入力して管理する、という体制が敷かれている。これだと、確かに契約書を探すこと自体は可能なのだが、台帳管理者の管理方法によらざるを得ず、現場の人間が契約情報を振り返るために契約書を探そうと思っても、台帳管理者(多くの場合は法務部門)に頼むしかなくなる。また、管理方法自体が属人化しているため、引き継ぎも難しい。

 ホームズクラウドであれば、契約類型ごとに必要となる検索因子を入れるための項目を指定できる。属人的になりがちな台帳管理を脱却して仕組み化することが可能となる。

関連契約管理--流れや相手までを一元管理

 さて、いよいよ本題である。あるひとつのテーマに沿って契約を管理する場合には、どのようにすれば良いのだろうか。ポイントは、“時系列に沿って契約が発生すること”と“各契約がさまざまな取引先と発生すること”である。

 これらをおさえた契約管理を可能にするのがホームズクラウドのプロジェクト管理機能である。その商品開発に関わる取引先を横軸で時系列順に並べ(フェーズ)、それぞれの取引先との間で発生する契約書を取引先にぶら下げる形で並べている(チケット)。

契約を一元管理できる(出典:Holmes) 契約を一元管理できる(出典:Holmes)
※クリックすると拡大画像が見られます

 このように整理することで、あるプロジェクトの中で“誰と、いつ、どんな契約を結んでいるのか”を俯瞰的に把握できるようになる。さらに、ある契約から発生する権利、義務を漏れなく把握、確実に実行したいのであれば、権利、義務の内容をチケットとして発行すれば同じように管理できる。

契約の管理、把握で速度も向上--法務部門を“管制塔”に

 契約は事業そのものであり、契約書はその説明書だ。しかし、従前の契約書管理では、事業全体を契約の視点から把握することは難しい。ホームズクラウドであれば、意味のあるかたちで契約、付随情報を集約し、一元的に管理できるのだ。

 メリットは、法務部門が契約関係を把握しやすくなるだけではない。現場で動く事業部門側との連携がとれることで、法務部門をハブとして事業スピードを上げることが可能になる。事業の進行に不可欠な存在である契約を客観的に把握することのできる法務部門が、いわば空港の「管制塔」のような役割を担って、各部門の交通整理をし、各事業部門は自部門の目標達成に全力を出せる環境を整えることができる。

 ホームズクラウドのプロジェクト管理機能は、非常に柔軟性が高い。今回紹介した「あるテーマに関連する契約の俯瞰的な把握、管理」以外の用途にも使うことができる。次回は、契約のライフサイクル管理をプロジェクト機能で実現する方法と、法務部門が行う「相談」業務のさばき方について解説する。

(第5回は4月下旬にて掲載予定)

酒井 貴徳
Holmes CEO室 室長

日本、ニューヨーク州で現役弁護士を務める。2009年に東京大学法科大学院修了後、2010年に弁護士登録(第2東京弁護士会、63期)。2011年から、西村あさひ法律事務所でM&Aやスタートアップ支援を担当。その後、アメリカへ留学。2018年にバージニア大学ロースクールを卒業し、ニューヨークの法律事務所 Debevoise & Plimpton LLPに勤務。2019年、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後の2019年9月にHolmes入社。事業戦略の策定や組織構築、ファイナンスや提携など、事業を成長させるための業務に従事している。
須貝 崇史
Holmes CEO室 兼 フィールドセールスグループ

中央大学法科大学院卒、2019年に司法試験に合格。Holmesでインターンを経験したのち、司法修習の道を選ばずにそのまま正社員として入社。 ベンチャー、スタートアップ企業のサービスを独自の視点で分析、考察するブログ「Startup Labo」を個人で運営。

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