量と質を維持--緊急時のテレワークでチャットとウェブ会議を使いこなす勘所

中沢仁 (ゾーホージャパン)

2020-05-05 06:45

課題は基本的なコミュニケーションのレベル低下

 緊急時対応のテレワーク環境が整備できたとしても、実務におけるコミュニケーションの量と質が維持できないと意味がありません。通常の職場環境では、顔を合わせて話をしたりメールや電話を使って連絡を取り合ったり、さまざまな方法でコミュニケーションを図りながら仕事を進めます。

 特に、ちょっとした雑談も含めた直接的な対話による情報の交換や共有が、仕事を円滑に進める上で大きな役割を果たしていますが、テレワーク環境ではこうした気軽なコミュニケーションが欠落してしまいます。それでは、メールや電話がその代役を果たすことができるでしょうか。

 メールは仕事で使う標準的なコミュニケーションツールになっていますが、相手のメールアドレスや件名の入力といった作業が必要ですし、内容も形式的な文章であらわすのが一般的です。また、基本的に1通ごとに独立しているので、対話するには前のメールの引用を重ねていくことになり、話の流れがわかりにくくなるという欠点もあります。

 ちょっと相談したいことや軽く耳に入れておきたいことのために使うのには不向きな側面があります。電話なら気軽にかけることができそうですが、テレワーク中はかける側も受ける側も、必ずしも通話しやすい環境にいるとは限りません。カフェや図書館など公共の場で仕事をしていることもあるでしょうし、家にいても近くに家族がいたり、掃除機の音がしたり、ペットが鳴いたりするかもしれません。

 テレワークに移行しても、それまでの職場におけるコミュニケーションの蓄えのようなものを皆で共有しているため、しばらくの間はうまく回るかもしれません。しかし、コミュニケーションの量がだんだん減ってくると、自分の仕事以外の状況や他のスタッフの状態、部署や組織全体の動きも徐々にぼんやりとしてきます。

 こうなると、仕事を進めるために必要な情報共有の質が下がり、生産性を大きく下げる結果になってしまいます。テレワークの導入に積極的になれない企業が心配することの一つには、こうした基本的なコミュニケーションのレベル低下があるのではないかと思います。

メールとの併用でチャットを有効活用

 では解決方法は……といえば、現時点で最も簡単で効果的なのは、やはり企業向けチャットツールの導入でしょう。チャットであれば、実際の会話のような簡潔なメッセージのやり取りができます。1対1の会話から、グループチャットでの情報共有やディスカッションも可能です。

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