コニカミノルタジャパンは、新型コロナウイルスが原因で突発的に発生した物流業務をRPA(ロボティックプロセスオートメーション)ツールで自動化した。ソフトウェアロボットの運用後は、手作業で1日12時間かけていた処理時間を85%削減した。これは年間換算すると2460時間の削減効果になるという。
今回自動化した業務プロセスはその後の工程と合わせて自動化できる可能性があったため、現在も継続して利用されている。なおソフトウェアロボットの開発に当たっては、できるだけ早く運用を始めて年度末(3月末)の納品が遅れないようにするため、全ての機能要件を組み込むのではなく、プロセスの一部に人の作業を入れ、役割を分けて柔軟に運用することにしている。
同社では、2020年2月から新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、中国から入荷していた一部商品の納品が滞り始め、その一方で受注は入り続けていたため、システムと連動させていた物流プロセスを変更しながら作業を進めなければならない事態が発生した。同社の物流部は、スタッフが受注内容と商品在庫を1件ずつ確認しながら優先順位を決めて受注出荷業務を継続させ、この方法で1日400件を受注出荷していた。
しかしこの処理は人手で通常の5〜8倍程度かかり、残業でカバーせざるを得ない状況となった。そしてこの間も受注は続いていたため、3月末に向けて納品が遅れることが懸念され始めた。
そこで同社では、この突発的な事態を早急に打開して3月末までの納品への影響の最小化と情報の流れをスムーズにすることを目標に、一部の物流作業をRPAで行う検討が始まった。
同社では既に「Automation Anywhere Enterprise」を利用していたため、推進役のデジタルワークフォース事務局が中心になってプロジェクトが開始された。このプロジェクト関係者は3月上旬に業務の合間を縫って打ち合わせを行い、課題を確認して新しい業務プロセスを構築した後、ソフトウェアロボットの開発をスタート。運用テストを経て約10日で完成させることができた。
開発されたソフトウェアロボットでは、まず受注システムから受注データの一部を抽出して一覧表を作成し、在庫状況を記した在庫調整リストを照らし合わせてチェックし、チェック後の生産リストを物流部担当者にメールで送信するまでのプロセスが自動化された。