「ニューノーマル」に進む中堅中小企業の実際--日本MSが支援する変革の中身

河部恭紀 (編集部)

2020-06-03 07:40

 日本マイクロソフトは5月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後のニューノーマル(新常態)に向けて、中堅中小企業が業務オペレーションや働き方でどうデジタル変革を進めることになるのかを事例とともに示した。

 2020年に入っての新型コロナウイルス拡大を受け、Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるSatya Nadella氏は、この2カ月で2年分のデジタル変革が起きたと述べている。同社コミュニケーションツール「Microsoft Teams」は、1日あたりのアクティブユーザーが2019年11月では2000万人だったのが、4月末には7500万人となっている。また、同社仮想デスクトップ サービス(DaaS)「 Windows Virtual Desktop(WVD)」の利用は、3月末時点で3倍となっている。

 同様に、日本の中堅中小企業でもデジタル変革が進んでおり、日本マイクロソフトが1246社にヒアリングした結果、5月26日時点でリモートワークを実施中と回答した中堅中小企業は50%、検討中との回答は26%となったという。また、中堅中小企業のリモートワーク実施の推移を見た場合、4月の緊急事態宣言を機に、リモートワーク実施中の企業が増加している。

三上智子氏
三上智子氏

 現在、緊急事態宣言は解除されているが、「この2カ月間の経験から、今後の未来に向けて、リモートワークの必要性を多くの中堅中小企業が実感したのでは」と同社で執行役員 コーポレートソリューション事業本部 事業本部長を務める三上智子氏は述べる。一方で、新型コロナウイルスの拡大が完全に収束しておらず、第2波が来るリスクもある状況で、中堅中小企業はどうデジタル変革を進めることになるのか。

 中堅中小企業は、「緊急対応」「沈静化」「新常態」という3つのフェーズを経ることになると三上氏は説明する。

各フェーズにおける企業の取り組み

 緊急対応のフェーズでは、緊急事態宣言によりリモートワーク移行を急遽実施し、オンラインでの会議や商談をなんとか進めながらも最低限の安全性を担保。それによって事業継続性を確保する。沈静化のフェーズは、緊急事態宣言がいったん解除された現在の状況に該当するとも言えるが、付け焼き刃的に導入したリモートワークを本格化させるため、紙ベースのプロセスのデジタル化、セキュリティやガバナンスの強化、オペレーションの自動化などにより事業回復を目指す。新常態のフェーズでは、一通りの対応はできたが、コロナ以前の状態には戻ることができないことから、事業戦略の改善、社員意識や組織風土の改革、新規事業が求められることになる。

ニューノーマルに向けた3フェーズ

 各フェーズにおける企業の取り組みを具体的に見てみると、緊急対応のフェーズでは次のような事例が挙げられる。高機能性フィルムや高機能性容器の技術開発メーカーであるアイセロ(愛知県豊橋市、単体従業員525人)では、自然災害などの非常時での事業継続計画(BCP)としてMicrosoft Teamsを導入した。ただし、非常時の対応をより確実なものにするため、「普段使い」のツールとし、2019年12月に全社展開していた。当初、利用は十分に浸透しなかったが、新型コロナウイルス拡大後に一気に広まる。大きなトラブルなく活用が進み、音声・ビデオ会議やチャットなどで事業が継続できたという。

 北九州市立大学(北九州市)は、仮想デスクトップ基盤(VDI)の初期導入の高コストやパフォーマンス不足という課題を抱え、利用環境の改善を求められていた。WVDを実装することで、コストを4分の1まで削減。構築期間は1週間だったという。「新型コロナウイルスの影響によりテレワークが注目を集めているが、企業であれ、教育機関であれリモートワーク環境を構築するのは容易ではない。WVD上でのTeamsが一番スマート」という声を担当者より得ているという。

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