兵庫県加古川市は、特別定額給付金をオンラインで申請するためのシステム基盤に「kintone」を採用した。
これにより、各家庭へ郵送される申請書に記載された固有番号を活用し、自治体の住民情報と照合することで事務手続きを大幅に省力化すると同時に、申請者の負担を軽減することが可能になるという。
特別定額給付金制度に対しては、個人番号カード(マイナンバーカード)を活用したオンライン申請も始まっているが、マイナンバーでの本人確認ができていても、申請内容が正しいかどうかの判断は自治体側となっている。正しい内容があらかじめ記載された申請書を家庭に送る郵送方式と比べて、申請内容や二重登録の確認に多大な工数がかかっているという。
加古川市では、郵送する用紙に記載した固有の番号を活用することで、申請書に印字するデータをそのままシステムに反映できることに着目し、市民への迅速な給付金の支給と市役所職員の事務作業の負担軽減を目的に、独自に申請フォームを作ることにした。
郵送される給付申請書(左)と加古川市版オンライン申請フォーム(右)
郵送された申請書に記載の「照会番号」、本人確認書類と本人名義の口座情報の画像添付により、スマートフォンやPCからオンライン申請を行うことができる。今回は緊急の対策ということから、市役所職員が数日間でフォームを作り上げ、kintoneのセキュリティ機能を利用することで安全性を担保している。申請フォームはkintoneの連携サービスであるトヨクモの「フォームブリッジ」を使用している。
今回構築されたシステムのメリットは、マイナンバーカードを所有しなくても申請可能で、必要書類はスマートフォンなどで撮影すれば良く、給付対象者の氏名を入力しなくていいという点がある。振込先口座名などは一覧から選択する形を取り、誤入力を極力排除したフォーム設計となっている。
加古川市版の特別給付金オンライン申請の見込める効果
加古川市の試算では、11万世帯がこのフォームから申請した場合、郵送での申請と比べて事務処理時間が5分の1に削減され、迅速な給付につながるとされている。