クラウディアンの説明によれば、パブリッククラウド採用に伴う弊害は枚挙に暇がない。2017年下半期のAmazon Web Services(AWS)を例にすると、2億人近くの投票者情報や米国防総省の漏えいが発生した。その結果、同省はパブリッククラウドから独自開発した「milCloud」に変更している。
米航空宇宙局(NASA)はAWSを採用しているが、2025年までの予算枠としてEgress(データ読み出し)コストとして約30億円の追加請求を受けた。Appleはプライベートクラウドへの移行で、2017年に約780億円、2018年には約370億円のコスト削減。Dropboxも2015年からAWSのオブジェクトストレージサービス「Amazon Simple Storage Service(S3)」から独自環境へ移行することで、2016~2017年の2年間で約80億円のコスト抑止に成功している。
このような事例は日本国内でも発生しており、同社は政府系機構や半導体系製造業の事例を披露した。「いずれもパブリッククラウドは使用せず、組織内部で完結している」(石田氏)