IDC Japanは7月6日、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場予測を修正し、2020年の同市場(支出額ベース)が前年比5.3%減の27兆5927億円になると発表した。5月時点では6.1%減(27兆8357億円)、4月時点では4.5%減(28兆2155億円)と予測していた。
今回の予測は6月末の状況を踏まえ、「2020年前半に国内外で新型コロナウイルスの感染がいったん抑制され経済活動が正常化した後も、局地的に感染が再発して回復の阻害要因となるものの、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われること」が前提という。
製品セグメントごとの前年比市場成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどのデバイスがマイナス20.8%(前回予測比3.5ポイント増)、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどのインフラストラクチャーがマイナス2.9%(同1.0ポイント増)、ソフトウェアがマイナス0.8%(同1.4ポイント減)、ITサービスがマイナス3.0%(同0.2ポイント減)、テレコムサービスがマイナス0.5%(同0.7ポイント増)を予測している。
デバイスとインフラストラクチャーのハードウェア市場は、サプライチェーンの混乱が改善しつつあることや、政府の推進する「GIGAスクール」構想、企業などのテレワークの進展に伴う需要の回復を織り込んだ。プロジェクトに依存性の少ないマネージドサービスを提供するITサービスの影響は軽微で、テレワークの進展からテレコムサービスも改善を見込む。一方でソフトウェアは、クラウドサービスが堅調なもののオンプレミス中心のプロジェクトの延期/中止がさらに進んでいるため前回予想を下方修正した。
なお、企業や政府、消費者レベルでデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が活性化されるという楽観的なシナリオを想定した場合は、2020年の前年比成長率がマイナス4.1%程度に収まるという。しかし、世界主要地域全般レベルで感染が抑制されず経済活動も正常化しないという悲観的なシナリオではマイナス9.5%かそれよりも大きな落ち込みが想定されるという。