アドビ、CXM基盤「Adobe Experience Platform」を国内提供

藤本和彦 (編集部)

2020-07-30 10:00

 アドビは7月29日、顧客体験管理(Customer Experience Management:CXM)のためのプラットフォーム「Adobe Experience Platform」を国内で提供すると発表した。人工知能(AI)/機械学習(ML)フレームワーク「Adobe Sensei」を活用することで、リアルタイムの顧客プロファイルを構築するほか、顧客のプライバシーに配慮しながら、パーソナライズされたコンテンツを適切なタイミングで提供できるようになる。

Adobe Experience Cloudの構成イメージ
Adobe Experience Cloudの構成イメージ

 Adobe Experience Platformは、「Marketing Cloud」「Analytics Cloud」「Advetising Cloud」「Commerce Cloud」といった「Adobe Experience Cloud」のサービス提供を下支えする基盤製品になる。企業と顧客のタッチポイントが多様化する中、CRM(顧客関係管理)、POS(販売時点情報管理)、SFA(営業支援システム)、ERP(統合基幹業務システム)、BI(ビジネスインテリジェンス)といった複数のデータソースから顧客体験に必要なデータを取り込み、顧客プロファイルの統合からデータガバナンス、AI/MLの活用、顧客コミュニケーションにつなげるためのアクティベーションまでを一貫したプラットフォームで提供する。

 任意のデータソースから収集されるデータは、顧客体験管理のために設計されたExperience Data Model(XDM)により標準化され、統合される仕組みとなっている。データの管理は、データガバナンスを実現するDULE(Data Usage Labeling Enforcement)フレームワークにより、顧客データの項目ごとの目的管理と、その目的に沿わない利用制限を行い、プライバシーなどの規制に配慮したデータ利用を可能にしている。

プライバシーを尊重した顧客体験管理がより重要になっている
プライバシーを尊重した顧客体験管理がより重要になっている

 また、Adobe Experience Platformで稼働するアプリケーションサービスとして、「Real-time CDP」「Customer Journey Analytics」「Journey Orchestration」の提供も開始される。

 Real-time CDPは、データの収集、プロファイルの統合、顧客コミュニケーションなどをリアルタイムに実現するもの。連携されたデータは、Adobe Experience Platformに接続されているさまざまなシステムへリアルタイムに展開され、広告やパーソナライゼーションに活用することが可能になる。

 Customer Journey Analyticsは、「Adobe Analytics」の機能を拡張したものになる。Adobe Experience Platformにより統合されたプロファイルをベースに、これまでのCDPソリューションでは難しかった、オムニチャネルでのパス(経路)やフォールアウト(離脱)を、視覚的に分析することができる。

 Journey Orchestrationは、オムニチャネルのコミュニケーションフローを設計する機能になる。Adobe Experience Platformに統合された全てのチャネルのデータを利用しながら、特定のイベントが発生した際のコミュニケーションフローを設計可能。Adobe Experience CloudのアプリケーションやAPIで接続されたシステムを通じてリアルタイムに実行することができる。

 Adobe Experience Platformには機械学習などの高度な分析機能「Data Science Workspace」が備わっている。Adobe SenseiのAI/MLによる統合データの利用、スコアリングやクラスターデータなどのプロファイルの拡張が可能になる。また、同社が提供するAIモデルをチューニングして利用するだけでなく、PythonやRをはじめとするさまざまな言語を利用しながら、データサイエンティストによる独自のモデルを構築することも可能。

 今回の日本展開にあわせて、Adobe Experience Platformの導入を支援するコンサルティングサービスとAdobe Digital Learning Servicesによるアプリケーションサービスのトレーニングを提供予定となっている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  2. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]