アドビは7月29日、顧客体験管理(Customer Experience Management:CXM)のためのプラットフォーム「Adobe Experience Platform」を国内で提供すると発表した。人工知能(AI)/機械学習(ML)フレームワーク「Adobe Sensei」を活用することで、リアルタイムの顧客プロファイルを構築するほか、顧客のプライバシーに配慮しながら、パーソナライズされたコンテンツを適切なタイミングで提供できるようになる。
Adobe Experience Cloudの構成イメージ
Adobe Experience Platformは、「Marketing Cloud」「Analytics Cloud」「Advetising Cloud」「Commerce Cloud」といった「Adobe Experience Cloud」のサービス提供を下支えする基盤製品になる。企業と顧客のタッチポイントが多様化する中、CRM(顧客関係管理)、POS(販売時点情報管理)、SFA(営業支援システム)、ERP(統合基幹業務システム)、BI(ビジネスインテリジェンス)といった複数のデータソースから顧客体験に必要なデータを取り込み、顧客プロファイルの統合からデータガバナンス、AI/MLの活用、顧客コミュニケーションにつなげるためのアクティベーションまでを一貫したプラットフォームで提供する。
任意のデータソースから収集されるデータは、顧客体験管理のために設計されたExperience Data Model(XDM)により標準化され、統合される仕組みとなっている。データの管理は、データガバナンスを実現するDULE(Data Usage Labeling Enforcement)フレームワークにより、顧客データの項目ごとの目的管理と、その目的に沿わない利用制限を行い、プライバシーなどの規制に配慮したデータ利用を可能にしている。
プライバシーを尊重した顧客体験管理がより重要になっている
また、Adobe Experience Platformで稼働するアプリケーションサービスとして、「Real-time CDP」「Customer Journey Analytics」「Journey Orchestration」の提供も開始される。
Real-time CDPは、データの収集、プロファイルの統合、顧客コミュニケーションなどをリアルタイムに実現するもの。連携されたデータは、Adobe Experience Platformに接続されているさまざまなシステムへリアルタイムに展開され、広告やパーソナライゼーションに活用することが可能になる。
Customer Journey Analyticsは、「Adobe Analytics」の機能を拡張したものになる。Adobe Experience Platformにより統合されたプロファイルをベースに、これまでのCDPソリューションでは難しかった、オムニチャネルでのパス(経路)やフォールアウト(離脱)を、視覚的に分析することができる。
Journey Orchestrationは、オムニチャネルのコミュニケーションフローを設計する機能になる。Adobe Experience Platformに統合された全てのチャネルのデータを利用しながら、特定のイベントが発生した際のコミュニケーションフローを設計可能。Adobe Experience CloudのアプリケーションやAPIで接続されたシステムを通じてリアルタイムに実行することができる。
Adobe Experience Platformには機械学習などの高度な分析機能「Data Science Workspace」が備わっている。Adobe SenseiのAI/MLによる統合データの利用、スコアリングやクラスターデータなどのプロファイルの拡張が可能になる。また、同社が提供するAIモデルをチューニングして利用するだけでなく、PythonやRをはじめとするさまざまな言語を利用しながら、データサイエンティストによる独自のモデルを構築することも可能。
今回の日本展開にあわせて、Adobe Experience Platformの導入を支援するコンサルティングサービスとAdobe Digital Learning Servicesによるアプリケーションサービスのトレーニングを提供予定となっている。