日本オラクルは8月4日、SaaS事業の最新動向に関するオンライン説明会を開催した。専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括のPeter Fleischmann氏はまず、2020会計年度(2020年5月31日締め)について振り返り、アプリケーション事業が二桁成長になったことを明らかにした。また、同年度中には東京と大阪にデータセンターを開設し、「SaaSビジネスを国内で完結できる環境が整った」と強調した。
ユーザー動向としては、オンプレミスからクラウドへの移行が加速したほか、新たな利益創出の手段の一つとしてCX(顧客体験)製品がさまざまな業界で採用された。金融機関や通信会社でのクラウド型ERP(統合基幹業務システム)の採用や建設・小売・外食でのクラウド型HCM(人的資源管理)の導入もあった。直近では、サンコーシヤや鹿島建設、住江織物といった企業での導入も発表されている。
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Fleischmann氏はまた、コロナ禍における企業課題として、急速に変化する労働管理やサプライチェーンの変動とリスク軽減、顧客との新しいエンゲージメント、財務的な影響への対処などを挙げた。同社のSaaSは企業活動の全域を網羅する点、どこからでもリアルタイムデータにアクセスできる点が強みであるといい、自動化によるコストの削減や人工知能/機械学習(AI/ML)による事業予測も可能であるとした。
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実際、米Oracleでは、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモート勤務の中、自社製品を使って会計業務を進め、2020年3月の月次決算で20%の期間短縮を実現。決算と収益の報告が12日未満で完了し、会計業務における作業の工数を35%削減したという。「事業において大きな結果をもたらすことになる」(Fleischmann氏)
2021会計年度については「これまで以上にデジタル変革(DX)をともに進めていけるビジネスパートナーになること」とFleischmann氏は話す。ERP/HCMをビジネスの成長を支えるDXを支援するもの、CXを新しい売り上げの源泉、現行業務の改善、コスト削減を支援するものと位置付ける。
その上で、顧客のインダストリービジネスを理解し、DXを支援するよう全ビジネスにまたがるソリューションの提案を強化していき、顧客との中長期にわたるパートナーシップを構築やオンプレミスからクラウドへのアップグレード推進などに注力していくという。