Red Hatは8月20日、「Red Hat Asia Pacific Partner Conference 2020」をオンライン形式のバーチャルイベントとして開催した。従来は2年に1回のペースで開催されていたが、今回は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けてオンライン開催となった。
同日開催された報道機関向けセッションでは、Senior Director & Head, APAC Partners & AlliancesのAndrew Habgood氏と、日本(NEC)、オーストラリア(Integral Technology Solution)、ASEAN(東南アジア諸国連合)&香港(Ingram Micro)、インド(Taashee Linux Services)の4カ国/地域によるパートナー代表が登壇した。
Red HatでSenior Director & Head, APAC Partners & Alliancesを務めるAndrew Habgood氏
概要を説明したHabgood氏は、まず「APAC(アジア太平洋)地域のパートナー数は約4000で、この地域のビジネスの約70%がパートナーエコシステム経由で行われている」という数字を紹介。同社がIBMに買収された以後も同社の“オープン”な姿勢が維持されていることが理解され、パートナーエコシステムも拡大を続けているとした。
続いて同氏は、APAC地域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みに関するユーザー調査の結果を踏まえ、「DXがこの地域においても極めて重要な課題として取り組まれている」といい、「DXに当たっては、テクノロジーのモダイナイゼーションと同等もしくはそれ以上に重要な要素として、文化的な変化(Cultural change)が必要だと認識されている」と語った。
ユーザー企業に直接サービスを提供するパートナーには、DXを推進するためのさまざまな支援が期待されている。Red Hatはパートナーに対して技術支援や認定プログラム、ツールなどを提供してパートナーを支えていく形で「パートナーエコシステムを通じてAPAC地域におけるDX推進に貢献していく」(Habgood氏)という姿勢が示された。また同氏は「Red Hatは顧客、パートナー、コミュニティーをつなぎ合わせる“触媒”としての働きを担っていく」としている。
NECのフェロー 兼 先端SI技術開発本部長である宮沢忠氏
なお、今回のイベント開催に合わせて「Red Hat Asia Pacific Partner Awards 2020」も発表されている。日本企業では、NECが地域別のトップパートナー(Top Partner〈Japan〉)とAPAC全体でのTop OpenShift Partnerの二冠を獲得している。さらに、NECは成田国際空港で構築/運用している「顔認証技術を活用した電子申告ゲート」(One ID)の基盤技術としてRed HatのKubernetes実装である「Red Hat OpenShift」を活用していることも明らかにされた。
NECのフェロー 兼 先端SI技術開発本部長である宮沢忠氏は、両者のパートナーシップが20年にわたって継続しており、プロプラエタリーシステム全盛の時代からオープンソースイノベーションをともにけん引し、さまざまな価値を実現してきたと振り返る。さらにコンテナー基盤はDXを推進するユーザーがアプリケーション基盤に求める要件を満たすことができるとした上で、「Red Hat OpenShiftは理想的なコンテナープラットフォームだ」と語った。