日本マイクロソフトは8月26日、パートナーを対象としたオンラインイベント「Microsoft Empower Partner Days 2020」を開催した。代表取締役社長の吉田仁志氏は、基調講演「"ニューノーマル"を見据えた、デジタルトランスフォーメーション実現に向けて」の中で、「目指すのはお客さまに寄り添うマイクロソフト。『MSと言えばDX(デジタルトランスフォーメーション)』と認識していただけるような企業を目指す」と、7月1日に始まった同社2021年度の目標を掲げた。
日本マイクロソフト 代表取締役社長の吉田仁志氏
また、同社執行役員 専務 エンタープライズ事業本部長の高橋美波氏は、昨年度のテーマ「Democratizing Digital(デジタルの民主化)」を振り返りつつ、コロナ禍の影響で「われわれが想定していた以上にデジタル化の波が加速している」と状況を分析。パートナーと連携して、「デジタル化と社会変革のために新しいソリューションをつなげていくか」(高橋氏)を課題として、多くの業種でパートナービジネスを推進してきた。
例えば、製造業分野ではPTCや日本ビジネスシステムズ、シムトップス、Ansysとの協業を通じて、設計の継続性や製造現場の生産性を維持してきたとする。流通業分野ではAWLのカメラソリューションやecbeingによるSaaS型ECサービスを挙げ、「リモートで各所から必要に応じて仕事をできることが重要。さまざまな形でお客さまを支援することがわれわれのミッション」(高橋氏)で、パートナーと連携する理由だと説明する。
長年のパートナーであるアクセンチュアは、2005年にMicrosoftと共同で戦略子会社となるアバナードを設立、2019年2月にはアクセンチュア内にMicrosoftの技術を活用してDXを支援する組織「アクセンチュア マイクロソフト ビジネス グループ」を立ち上げている。コロナ禍においてはビジネスの継続性や回復力が求められているが、アクセンチュア 代表取締役副社長の関戸亮司氏は、「『ウィズコロナ』で中長期的にビジネスを変えていく非常に挑戦的な時代だが、(日本マイクロソフトと)緊密な協業ができている」とこれまでを振り返った。
そこで、高橋氏がコロナ禍における経営者の課題を問うと関戸氏は、「7割強のお客さまが短期的対応を行っていたが、今回のチャレンジを好機と捉えて、(コロナ禍に対して)社内で高まる危機意識を活用し、以前から考えていたDXを加速させたいと考えるお客さまも多い。逆にこのチャンスを逃すと、組織も平時に戻る雰囲気になってしまう」とDXの推進をうながした。
アクセンチュア 代表取締役副社長の関戸亮司氏(左)と日本マイクロソフト 執行役員 専務 エンタープライズ事業本部長の高橋美波氏
パートナー事業本部は、2021年度で3年目を迎える。高橋氏からバトンを本部長職を受け継いだ檜山太郎氏は、「日本全体に真のDXを拡大していきたい。パートナーの皆さんとともにニュースタンダードの創造を目指す」と2021年度の目標を掲げた。日本マイクロソフトは注力領域として「安全で価値を生み出すリモートワークを業務とテクノロジーの両面で支援」「現場社員自らがテクノロジーを活用できるビジネスドリブンのデジタル化」「データとAIのパワーで組織・業界を超えた新たなビジネス創造」の3点を掲げる。これらを実現するために、2000~5000ドルの支援金を提供する「Microsoft Cloud Accelerators」プログラムを活用したワークショップの支援や、クラウド時代のセキュリティやMicrosoft Teamsをコラボレーション活用の観点から情報を提供するパートナーアライアンスを用意する。
また、ビジネス主導の観点では、「Microsoft Power Platform」を学べるハンズオン提供を支援し、ビジネス創造の観点では、流通・製造・ヘルスケアなど6業種向けに提供している「業種別リファレンスアーキテクチャ」の活用を目指す。さらに、組織レベルで戦略や体制などの検討をプラン化するための枠組みとなる「Cloud Adoption Framework」や、クラウド&AI(人工知能)人材の継続的育成を可能とする「Advanced Specialization」「Azure Expert MSP」を提供する。
日本マイクロソフト 執行役員 常務 パートナー事業本部長の檜山太郎氏
日本マイクロソフトは、今回新たにパートナーフォーラム「Re:Innovate Japan」も開設し、2021年6月30日までの活動を予定している。日本コンピュータシステム販売店協会、日本オムニチャネル協会、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が後援を務め、幹事企業は最終調整中だがPhone Appli、ソフトクリエイト、ドリーム・アーツ、ピーエスシー、富士通が名を連ねている。
執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏は、「セミナーやイベントを通じた情報配信やセールスリードの機会創出、フォーラムメンバーを対象にした勉強会の開催、調査レポートの共有などさまざまな活動を実施する」と説明し、公式サイトの活用を提唱、また2021年度のパートナー施策強化として「われわれが持つ専門性を企業として集約し、専門性の価値提供にわれわれ自身も取り組んでいく」と説明した。
日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏
今回の「Microsoft Japan Partner of the Year 2020」は、8カテゴリーで30社が受賞した。受賞社は下記となっている。
- Social Responsibilityカテゴリー:ドリーム・アーツ、ピーエスシー、FIXER
- Modern Work Placeカテゴリー:日本ビジネスシステムズ、パーソルプロセス&テクノロジー
- Business Applicationsカテゴリー:シーイーシー、アクセンチュア&アバナード
- Azureカテゴリー:ブレインパッド、シトリックス・システムズ・ジャパン、SBテクノロジー、オルターブース、野村総合研究所、JSOL、富士通
- Industryカテゴリー:全国大学生活協同組合連合会、京都電子計算、TIS、日立ソリューションズ、ソフトクリエイト、日本ユニシス、MaaS Tech Japan、SBテクノロジー、インフキュリオン、アビッドテクノロジー
- Learningカテゴリー:エディフィストラーニング
- Surfaceカテゴリー:大塚商会
- 特別賞:NTTデータ、SAPジャパン、NEC、シネックスジャパン
また、Microsoft Inspireで発表した「Microsoft Partner of the Year Award 2020」のJapan Partner of the Yearは、ソフトバンクグループ(ソフトバンク、SB C&S、SBテクノロジー)が受賞した。