CLINKS、「テレワークサポーター」で在宅勤務管理を効率化--働き過ぎ防止にも - (page 2)

鍋島理人 (Innerstudio) 藤代格 (編集部)

2020-09-02 07:00

成功の鍵を握る信頼関係

TBE事業部 シニアエキスパートの千野氏
TBE事業部 シニアエキスパートの千野氏

 テレワークサポーターの導入がもたらした効果は、労務管理の課題解決に留まらなかった。顔認証という客観的な労務管理を採用したことで、顧客からの信頼を獲得。テレスタ事業の成長につながった。同社 TBE事業部 シニアエキスパート 千野正吾氏は次のように語る。

 「社内であれば従業員の仕事ぶりはすぐに判断できますが、お客様にとっては分かりにくい面もあります。テレワークサポーターが業務を可視化することで、お客様は派遣された従業員の働きぶりを評価し、安心して私たちに仕事を任せることができます」

 従業員にとっても、テレワークサポーターに「見られている」ことはデメリットばかりではない。仕事に取り組む集中力を維持したり、働きすぎを防止したりするメリットもある。また、直接会う機会が少ない在宅勤務では問題発生時の話し合いが難しい場合があるが、テレワークサポーターで業務を可視化し、従業員と自社の双方に客観的な話し合いの材料を提供し、信頼関係の醸成、状況改善につなげることができるという。

顔認証の設定に苦労、精度向上に期待

 在宅エンジニア派遣事業だけでなく、緊急事態宣言下の新卒社員へのリモート研修など、同社で活用の広がりを見せているテレワークサポーターだが、顔画像を登録して自動判別できるようにするには設定に工夫が必要など、導入初期は顔認証の設定の難しさに悩まされたという。

 キヤノンITSへのフィードバックを重ね、製品は徐々に改善。今年始めにはテレワークサポーターに新しい画像認識エンジンを導入し、認識率が向上したという。CLINKSは、顔認証のさらなる精度向上に期待を掛けている。

テレワーク定着の秘訣とは

 同社は、新型コロナ流行以前の比較的早い時期からテレワークの導入に取り組み、知見を積んできた。そこで最後に、テレワーク導入の成功に必要な要素についてアドバイスをお願いした。

 まず従業員の側に求められるのは、自己管理能力と報連相の徹底だ。この2つの資質は、面接だけでは判断できないことも多い。そこで同社では、フルタイム在宅派遣のエンジニアについては、最初の3カ月間は契約社員として上記の適正があるか判断、3カ月後に正社員採用という形を取っている。

 一方、会社側の責務としては、コミュニケーション環境の整備が重要だ。家で一人で働いていると、孤独感や息苦しさを感じてしまいがちだからだ。

 「長くテレワークで働くためには、オフィスで働いている時のように適度な息抜きも必要です。そこで業務に直接関係なくても、『雑談チャット』での会話を奨励するなど、オフィスで仲間と一緒に働いているような感覚になれる場作りを目指しています」と、疋田氏は語った。

 テレワークサポーターの活用により、在宅でも規律ある職場を維持し、顧客からの信頼を勝ち取ること。同時に、オフィスの居心地の良さをテレワークでも再現すること。これらの取り組みで在宅エンジニア派遣のさらなる発展を目指し、同社の挑戦は続く。

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