デル・テクノロジーズは9月2日、「ニューノーマル時代のリモートワーク最前線~これからのクライアント仮想化~」と題したIT担当者向けオンラインセミナーを開催した。ここではIDC Japanによる「ネクストノーマル時代に求められるサスティナビリティ戦略~ハイブリッドクライアント仮想化の革新~」と、チューリッヒ保険による「コールセンターの在宅化を可能にした、Wyseシンクライアント導入事例」をまとめる。
IDC Japanはコロナ禍後の世界を「ネクストノーマル」というキーワードで表現。同社のPC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト 渋谷寛氏は直近の課題や新たな生活様式への対応、新たなビジネス領域の開拓を通じて、「回復期、そして成長期に向かう。そのためにはサスティナビリティ(持続可能性)やレジリエンス(回復力)が必要だ」と予見している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト 渋谷寛氏
現在は、在宅勤務を求められており、仮想デスクトップ基盤(VDI)の重要性は高まっている。IDCの調査によると、“バーチャルワークスペース(仮想作業環境)”が急上昇しているという。在宅勤務によるITの業務運用が、多くの課題を抱えていることは枚挙に暇がないものの、VDIが1つの解であることを示す結果と言えるだろう。
他方でIDC Japanの調査である「2020年 国内クライアント仮想化市場 ユーザー動向分析調査」では、2019年段階でVDIの導入を検討している企業や団体などの割合は19.9%(n=2569)、2020年になると27.7%(n=2609)の企業などが利用している結果が明らかになった。
基盤となるハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の主要な用途について渋谷氏は、「VDIのワークロードは当初から高いが、最近はビジネスアプリケーションやデータ管理での利用も増えている」と分析し、2019~2024年の年平均成長率(CAGR)はビジネスアプリケーションが12%、データ管理が11.8%、VDIは10.6%と2桁成長だと予測する。
同社の「2020年 国内企業のIT投資におけるCOVID-19の影響」によれば、2020年度のIT予算にコロナ禍が与えた影響(n=500)として、「IT予算全体の削減(18.4%)」「IT予算は現時点で削減されていないが、削減の可能性を打診されている(16.4%)」「ITによる対応領域拡大に伴うIT予算の増額(13.8%)」が上位に並ぶ。コロナ禍に対するIT部門の取り組み(複数回答)としては「従業員の働き方改革(39.4%)」「セキュリティの強化(28.2%)」という声が目立った。
先の国内クライアント仮想化市場についてIDC Japanは、(1)基本的(2)楽観的(3)悲観的――という3つのシナリオを策定している。
(1)基本的シナリオは、2020年はマイナス成長となるが2021年から回復基調に転じ、その後は堅調に推移。(2)楽観的シナリオは、2020年後半から正常化してプラス成長を迎え、2021年移行は拡大傾向となる。(3)悲観的シナリオは2021年までマイナス成長となり、2022年は回復基調ながらもマイナスを引きずり、2023年以降も微増にとどまる。
当然ながら、どのシナリオが的中するのか誰にも分からないが、同社は2024年のシンクライアント端末台数のCAGRは0.2%減、クライアント仮想化ソフトウェアライセンス数は2.2%減と下落傾向にあるが、クライアント仮想化ソリューションの売上額は0.8%増、DaaSの売上額は14.3%増、モバイル仮想化は16.3%増と見込んでいる。
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