コールセンターのリモート化をシンクライアントで実現
チューリッヒ保険は政府の緊急事態宣言発令を受け、4月8日から東京と大阪の2拠点で在宅勤務を開始。4月17日に対象地域が全国に広がったことを受け、4月20日から長崎でも全面的な在宅勤務に切り替えた。4月30日時点でコールセンターと損害保険金支払い部門の在宅勤務率は約95%に達している。
同社は2010年代初頭から事業継続計画(BCP)の一環として在宅勤務化に取り組んでおり、2013年以降は本社管理部門の一部や保険金支払い業務の在宅勤務化を先行実施。コールセンターの在宅勤務化構想は2013年から始めている。その基盤となったのが、2012年に導入したCitrixによるVDI環境とWyseシンクライアントだ。
「当初は通常のファットPCを使っていたが、BCP検討時にすべてのクライアントをVDI化。PCの交換タイミングに合わせてWyseに切り替えた」(チューリッヒ保険 IT運用部次長/ITインフラアーキテクト 山内栄二氏)

(左から)デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 アウトサイドスペシャリスト 今福貴氏、チューリッヒ保険 IT運用部次長/ITインフラアーキテクト 山内栄二氏
コールセンター担当従業員は「Wyse 5470モバイルシンクライアント」でVDI環境に接続しているが、Wyse 5470のOSはWindowsではなく、デル独自のWyse ThinOSである。クローズドアーキテクチャーによる堅牢性と、設定や管理を容易にするデスクトップ仮想化プロトコルを備えており、山内氏は「接続までのステップも少なく、われわれも短期間でセットアップできた」と説明する。
Wyse ThinOSの利点について山内氏は「Windows PCは紛失時のリスクを軽減するため、ハードディスクドライブの遠隔消去やパッチなど運用管理の負荷が高い」と述べている。Wyseファミリーの1つにクラウドベースの管理ツール「Wyse Management Suite」があるものの、現在は検証段階にとどまり、本格運用に至っていない。だが、「イベントリー情報もコンソールから確認し、設定変更できるのがよい」(山内氏)と高評価だ。

※クリックすると拡大画像が見られます