海洋研究開発機構は9月25日、仮称「次期地球シミュレータ」の概要を発表した。現行のベクトル計算機による単一アーキテクチャー構成からマルチアーキテクチャー型構成に変更し、2021年3月の運用開始を予定している。
新システムはNECが提案していたもので、AMDのEPYCプロセッサーをベースに、NECのSX-Aurora TSUBASAやNVIDIAのA100 Tensor コア GPUおよびMellanox HDR 200Gbs InfiniBand、データダイレクト・ネットワークスのオールフラッシュストレージ、日本ヒューレット・パッカードのHPE Apollo 2000 Gen10 Plus Systemなどを組み合わせる。
684台のSX-Aurora TSUBASA B401-8(合計5472台のベクトルエンジンを搭載)などからなり、最大理論性能は現行システム比で14.9倍の19.5ペタフロップス(現行は1.31ペタフロップス)、主ストレージ容量は同12.8倍の61.4ペタバイト(現行は4.8ペタバイト)になる。一方で消費電力は従来システムとほぼ同等、設置面積は約半分という。汎用CPUやGPUアクセラレーターなどを組み合わせるアーキテクチャーとすることで、従来の地球シミュレータのソフトウェア資産を活用しながら、人工知能(AI)などの新規領域の研究開発により取り組みやすくなるとする。
地球シミュレータは、これまで地球環境や海洋資源、海域地震、火山活動などの研究開発で活用されてきた。新システムの導入でこれら研究における大規模シミュレーション処理などがさらに高速化、効率化され、環境問題の解決や地殻変動、地震発生などの未知なる因果関係の解明、自然災害の予測と対策などへの取り組みが推進されるという。
海洋研究開発機構では、次期地球シミュレータの外部への供用を目的とした公募を2021年初頭に開始する。