国立研究開発法人の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を更新、6月1日から運用する。NECが5月26日に発表した。
ベクトル型スパコン「SX-ACE」が採用された。SX-ACEは、マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、64GFLOPSのコア性能と秒間64Gバイトのコアメモリ帯域を搭載している。単一ラックあたりの性能は前機種の10倍となる16TFLOPS、秒間のメモリ帯域16Tバイトになる。

地球シミュレータ(JAMSTEC提供)
科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とし、気象予報、地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジや新規素材開発などのシミュレーションで高いアプリケーション実行性能を実現すると説明。NEC独自の最先端LSIテクノロジに高密度設計や高効率冷却技術などで従来機種「SX-9」と比較して、消費電力を10分の1、設置面積を5分の1に低減したという。
新たな地球シミュレータは5120ノードのSX-ACEで構成され、最大理論性能は1310TFLOPS。今回のシステム更新で、従来は難しかった複雑なシミュレーション、より大規模なシミュレーションを高速にできるという。
地球温暖化の影響の精細な評価、将来の気候変動の予測、台風や集中豪雨など顕著な気象現象の再現と予測、地震発生機構の解明、広域・高分解能の津波の浸水予測、惑星磁場の生成過程の解明などに利用され、海洋地球科学分野の研究を豊富な計算資源で一段と加速させることが期待されるとしている。

海洋大循環モデルOFESでの超高解像度準全球海洋シミュレーション結果(JAMSTEC提供)