NECは11月17日、スーパーコンピュータ「SX-ACE」の後継機となる次世代ベクトルマシンの開発を開始したと発表した。
次世代ベクトルマシンは、標準ラックでの性能比較の場合で現行機と比較してラックあたり10倍以上の性能を、SX-ACEの最大構成での性能と次世代ベクトルマシンの最大構成との比較では最大で100倍以上となる数十ペタフロップスクラスの向上を目指している。
また、SX-ACEの開発で培った技術を活かし、さらなる省電力、省スペース化にも取り組み、SX-ACEと次世代ベクトルマシンの同一性能時の比較で消費電力を10分の1以下、設置面積を30分の1以下に抑えるなど、運用効率の改善を目指す。
これにより、従来機では10人程度で利用する会議室程度のスペースが必要であったスパコンの設置面積が、事務机程度のスペースで利用可能となり、電力料金も10分の1以下(ラック64台稼働時の、東京電力管内でのNEC試算による)に抑えることができるという。
さらに、次世代ベクトルマシンでは、画像の解析や大規模データ解析に有効なベクトル技術がビッグデータ市場で利用拡大されることを想定し、研究者の個人利用から大規模データ処理を行うデータセンタでの利用など、さまざまな用途に応じた幅広い性能レンジのラインアップを提供する予定としている。
NECでは、スーパーコンピュータの活用用途を、気候、気象予測、自動車や航空機設計などの最先端の研究開発に加え、安全な都市づくりや、高度な経済活動を支えるシステムまで拡大することで、ICT基盤を高度化させるとしている。