米VMwareのプライベートイベント「VMworld 2020」が、日本時間9月30日にスタートした。コロナ禍で初のオンライン開催となった今回のイベントテーマは、「Possible Together」。10月1日までの会期中は、CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏ら幹部や業界の専門家、顧客、ゲストスピーカーなど約150人が登壇し、講演やセッションを行う。
初日のGelsinger氏による基調講演では、同社の事業戦略や最新製品、サービスの発表に加えて、顧客事例や各種イノベーションなどの発表が行われた。オンラインイベントの特徴を生かして主要なセッションは、日本からも参加しやすい時間帯に配信され日本語の字幕も用意している。
VMware CEOのPat Gelsinger氏
基調講演の冒頭は、約3分間に渡りDell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell氏やMicrosoft CEOのSatya Nadella氏、かつてVMworldにゲストスビーカーとして登壇したこともある人権運動家のMalala Yousafzai氏など、IT業界のリーダーや、社会や企業のリーダーたちが、困難な時代におけるそれぞれの取り組みや考え方を示して見せた。
ここでGelsinger氏は、「2020年は、控えめに言っても、これまでにない年となった。この一連の危機は日々の生活を見直すきっけかになり、病にどう向き合うか、人々とどうつながるか、どう生き、どう祈り、どう学び、どう働くか。一度立ち止まり、私たちが思い描く未来について深く考えなくてはならない。大事なきっかけを見逃してはいけない」と語った。
そして、「この新たな日常を変えていく中核はデジタルイノベーションだ。アプリケーション、クラウド、デバイスの活用が急速に進んでいる。VMwareの“Any App、Any Cloud、Any Device”のビジョンには、かつてないほどの反響がある。私たち自身が証明したのは、周囲への思いやりと迅速な行動が大きな力になるということ。根底にあるのは、親身になり相手を思いやり、ちゅうちょなく行動に移すことだ。人類史に残る時代を乗り越える上で、お客さまを支援できることを光栄に思う」と述べた。
同氏は、2019年のVMworld以降、Pivotal買収によりアプリケーション開発やモダナイゼーションに関する専門性を高めたこと、Carbon Black買収によりセキュリティポートフォリオを拡充したことに触れ、VMwareのビジネスがITインフラ領域にとどまらず、先行きが不透明な時代に対応するデジタル基盤の提供へと広がっていると説明する。戦略の核になるのは、ビジネス、アプリケーション、データで、それらを活用して5つのソリューションプラットフォームを提供することになるとした。
その5つのソリューションプラットフォームは、KubernetesディストリビューションのTanzuによる「アプリケーションのモダナイゼーション」、VMware Cloudを中心とする「マルチクラウド」のポートフォリオ、組織と従業員の一体感を醸成する「デジタルワークスペース」、これらをつなぐ基盤となる「Virtual Cloud Network」のポートフォリオ、全ての要素にあらかじめ内在させる「本質的なセキュリティ」とする。「これらにより、VMwareは、信頼できる統合デジタル基盤を構築し、不透明な時代に対応できる」(Gelsinger氏)と、これらをベースにそれぞれの取り組みを説明した。