武田薬品工業と米Amazon Web Services(AWS)、Accentureは10月14日、グローバルにおける5年間の戦略的提携で合意し、契約を締結したと発表した。武田薬品は、これによりIT基盤の刷新やデータサービスの加速、イノベーション創出に向けた社内組織変革、従業員の新スキル習得や、働き方を許容する体制が整ったとし、クラウドファースト(クラウド前提)の事業変革を推進すると表明している。
武田薬品は、不要なシステム構築作業を排除して拡張性と信頼性を担保した安全なITアーキテクチャーによるITシステムを構築できると説明。アプリケーションの80%をクラウドに移行し、事業の差別化につながらないテクノロジーや自社データセンターを削減して、支出抑制を図っていくという。
同社は、既に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する取り組みとして、クラウドを使い5日でデータ共有と臨床試験を推進するプラットフォームを構築した。クラウド活用しない場合は3カ月を要したと試算する。また、今後3年間でデータやデジタル領域の専門人材を数百人規模で新規採用すると同時に、数千人の従業員のデータ活用スキルの向上も図る。
提携についてAWS 最高経営責任者(CEO)のAndy Jassy氏は、「幅広く深いAWSのサービスにより、武田薬品は安全かつ規制に確実に準拠して医薬品の創薬、開発、および製造を迅速かつ効率的に行える」とコメントした。
Accenture CEOのJulie Sweet氏は、「クラウドファースト企業に向けた大胆な取り組みは、患者への新たな治療法が加速され、従業員の働き方に新たな選択肢を広げ、雇用を生み出し、さらにデジタル時代に即したスキルの向上につながるなど、関係する全ての方々に継続的な利益をもたらす好例になる」と祝辞を寄せた。