SAPジャパンは11月11日、同社が“次世代”と位置付ける顧客データ基盤(CDP)「SAP Customer Data Platform」を発表した。企業プロセス全体のデータを顧客に結び付け、個人情報に配慮したリアルタイムな顧客データを、幅広いチャネルで利用できるようになる。11月中の提供を予定している。
SAP Customer Data Platformは、顧客データの収集と管理によって、顧客のニーズや興味・関心に沿ったパーソナライズ機能を提供するための製品になる。企業は顧客をさまざまな接点で把握し、関連性の高いやりとりをすることで、長期的な関係を構築することができるようになるとする。
SAP Customer Data Platformの概念図
複数のデータソースに顧客データが別々に保存されていると、データのサイロ化が進み、顧客を一元的に把握できなくなる。SAP Customer Data Platformでは、組織内のファーストパーティーデータやセカンドパーティーデータ、サードパーティーデータなど、さまざまなデータソースから顧客データを取り込み、一元管理することができる。
また、データ収集の主な目的を認識することで、より包括的なプライバシー戦略の策定を支援する。必要な同意が得られた場合にのみ、インバウンドデータをプロファイルに統合する仕組みとなっている。これによってデータ収集の手法とデータ処理の理由が透明化され、顧客のデータプライバシーに対する企業の責任を明確にするという。
加えて、高度なセグメンテーションとリアルタイムで計算されるアクティビティー指標により、顧客の好みと行動を正確に把握できるよう支援する。これは、パーソナライズされたオムニチャネルのエンゲージメントを提供するために必要な、オーディエンスを構築・活性化するためのデータ基盤となる。オーディエンス管理の一元化によってマーケティング、コマース、サービス、セールスを横断した一貫性のある顧客体験の提供につながる。
バックオフィスが持つオペレーションデータと、フロントオフィスデータ、エクスペリエンスデータも統合管理できる。これにより、組織全体のエンゲージメントソリューションに対し、実用的な権限ベースの顧客インサイトがリアルタイムで提供されるという。
SAPジャパンの富田裕史氏(左)と臼谷悠太氏
SAPジャパンのバイスプレジデントでSAP Customer Experience 事業本部長の富田裕史氏はオンライン会見で、SAP Customer Data Platformを「カスタマーエクスペリエンスを再定義」する製品と強調し、「シームレスでパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを、いつでも、どこでも提供する」とアピールした。
SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長の臼谷悠太氏は、「プロセスの分断からカスタマーエクスペリエンスにおけるストレスが生まれている」とし、「統合された企業プロセスこそがシームレスなカスタマーエクスペリエンスを生む」と指摘。それに対し、SAP Customer Data Platformは、360度活用可能な顧客プロファイルに基づき個人情報に配慮して顧客との信頼関係を築くことができると説明した。