段階2:アプリケーションのスリム化と部品化
段階1で作った時間を利用して不要アプリケーション資産を割り出し、断捨離し、アプリケーションボリュームを下げる。更に共通化できるルーティンを割り出し、統合して共通利用できる部品に変え。無駄、冗長性の無いシステムに徐々に近づけていく。これらは解析ツールの影響分析や資産比較機能を使うことで正確に情報を掴み、漏れの無い作業を進めることができる。
段階3:IBM iアーキテクチャー上でのモダナイゼーション
第3回の記事で紹介した最新のアーキテクチャーを活用し、徐々に資産をモダナイゼーションする。データを格納するための構造を定義するデータベースのDDL(Data Definition Language)化やその操作周りのコーディングのSQL化、オープン系言語に近いコーディングができるFFRPG(Free Form RPG)化、画面周りのPHP化など、IBM iでオープン化を実現する。
段階4:適材適所や相互連携を加味したモダナイゼーション
IBM i上で部品化、オープン化されたアプリケーションリソースは、業務機能視点、他システムへのマイグレーション視点の双方で理解しやすい状態となっている。クラウドサービスを含めたすべてのプラットフォームへのリプレースが容易となり、適材適所で分散化されても相互連携の手間がさほどかからない、柔軟な対応が可能となる。
なお、第2段階と第3段階は全てのアプリケーションで必須ではない。第1段階における評価の結果、業務システムの一部は第4段階から着手できる場合もあり、第2、3段階はスキップ可能である。
とはいえ、第2段階の不要資産の断捨離の実施は強くお薦めする。業務によっては第3段階をゴールとし、IBM iの継続利用を目指すユーザーも多くなってきている。
モダナイゼーションの第一歩に必要なソリューション
モダナイゼーションにおいて、第1段階がその後のプロセスを決める重要なファクターであることをお分かりいただけたと思うが、そのためのソリューションはアプリケーション解析ツールとなる。必要な機能要件としては以下が挙げられる。
- IBM i上で稼働している全ての世代のアプリケーションを解析できること
- インタラクティブかつ直感的操作で調査を進められること
- 分析結果はオープンシステムの思想に基づいていること
- モダナイゼーションを想定した評価機能があること
- モダナイゼーションに伴う変換などのツール機能の拡張性を準備していること
これらを満たす世界で一番利用されているツールはカナダFresche Solutionsの「X-Analysis」だろう。ジーアールソリューションズでは他製品を吟味した上で日本市場での独占販売権を取得した。ライセンス販売だけでなく、ツールを利用したモダナイゼーションに関するコンサルティングサービスも提供している。
現行資産の可視化と評価をスタートとする段階的モダナイゼーションの意義をお分かりいただけたであろうか? 本特集が、IBM i(AS/400)のモダナイゼーションをお考えのユーザー、モダナイゼーションを推進するベンダーやコンサルタントの方々の今後の方針決定の一助となることを願う。
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。