デジタル活用で地方の医師にとっても活躍の機会に
以上が発表の概要だが、今回このソリューションに注目したのは、オンライン診療が今や社会の大きな関心事となっているからだ。
新型コロナウイルス感染拡大は今や「第3波」が到来する中、感染への恐れから患者が医療機関の受診を控える傾向が一段と広がっており、治療中の慢性疾患の進行や初期診療の遅れなど、さまざまな問題が発生している。
こうした状況を受け、厚生労働省は2020年4月10日より、初診から電話や情報通信機器を活用したオンライン診療をコロナ収束までの時限的、特例的な対応として認めており、このたび、映像によるオンライン診療については、コロナ収束後も初診を含めて原則解禁する方向性が示された。
そうした中で、富士通はオンライン診療に取り組む医療機関を支援するため、1990年代より大学病院から診療所に渡るあらゆる医療機関への電子カルテシステムの提供実績やノウハウ、病院と患者をつなぐHOPE LifeMark-コンシェルジュの基盤などを結集し、今回のオンライン診療ソリューションの提供を始めることにしたという。
筆者もオンライン診療の行方には注目しているが、これまで議論がなかなか進まなかったテーマが、コロナで課題が浮き彫りになり、活用する方向に動き出したのは、大いに歓迎すべきことだと考える。
コロナによって、働き方において必然となったのは、リモートワークを無理なく選択できるようにすることだ。その本質においては、オンライン診療も同じだ。さらに、この分野のソリューションにおいて、富士通の影響力が大きいだけに今回の動きは期待が膨らむ。
オンライン診療を巡っては、都市部の医師やデジタル技術に詳しい若い医師に患者が流れ、地方の医療体制が衰退するとの懸念がある。これに対し、デジタル技術を活用すれば、むしろ地方の医師にとっても活躍の機会が増えるのではないかとの見方もある。
ここでは敢えてデジタル技術という言葉を使ったが、ITでも同じだ。後者のように進めていく仕組みを作っていくのが、厚労省やデジタル庁をはじめとした行政の仕事ではないか。
オンライン診療はニューノーマル時代に必然の取り組みだ。ぜひ、思い切って推進してもらいたい。