矢野経済研究所(中野区)は12月2日、国内ロボティックプロセスオートメーション(RPA)市場調査を発表した。2020年度の事業者売上高ベースの市場規模を、26.6%増の531億6000万円と予測。勢いはやや減速するが成長が続くと予測している。
数年前にブームとなって大きく注目を集めたRPAは、システム導入が急速に進展。2019年度の市場規模は前年度比54.4%増の420億円で、そのうちツール製品は45.5%増の48億円、関連サービスは55.6%増の372億円になるという。
2019年度の段階で大手ユーザー企業の利用率は高く、サーバー型RPAの全社的な導入、現場でのデスクトップ型RPAの積極的な活用など、導入成功企業で利用が拡大していると伝えている。
2020年度は新型コロナウイルス感染症に伴うIT投資の抑制、顧客との対面機会の激減など、RPAツールベンダーの事業活動が制限。市場のポテンシャルは大きく勢いは継続するが、前年度までの勢いはやや減速するという。
市場規模531億6000万円の内訳はツール製品が28.3%増の61億6000万円、関連サービスを26.3%増の470億円としている。
また、多くのユーザー企業が使いこなせておらず、導入効果を十分に得られていないと現状を指摘。ごく一部の業務を対象とした小規模な利用も多いという。
利活用が定着、導入企業内での利用拡大フェーズに入るためには、より多くのユーザー企業の導入成功の実感が重要としている。
短中期的には、テレワークの利用増加に伴う業務効率化への取り組み、ペーパーレスやハンコレスといったデジタル化の進展など、好材料は多いという。
コロナ禍で業績が悪化した企業では省人化とコスト削減ニーズが向上。需要が増加して業務量が増えた企業でも、これまで通りの人員体制で迅速に処理を進めるためにRPA活用が有効になるという。
導入が遅れている中堅中小企業や地方自治体などでの導入も進み、2021年度以降も中期的に成長が継続。2023年度の市場規模を868億円、そのうちツール製品を108億円、関連サービスは760億円まで拡大するとしている。
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