調査

コロナ禍でDX加速するも、推進の障壁は「DX人材の育成」--電通デジタル

NO BUDGET

2020-12-24 10:54

 電通デジタルは「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2020年度)」の調査結果を発表した。同調査は、従業員数500人以上の国内企業所属者(全業種)を対象に9月14〜25日に実施された。算出用サンプル数は3200。調査対象者の役職は、経営者・役員クラス、本部長・事業部長/部長クラス、課長クラス、係長・主任クラスとなっている。

 これによると、日本企業の74%がデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手しており、昨年比で+4%の拡大となった。また、DX推進の障壁について、2018、2019年でトップだった「コスト」を抜いて「スキル/人材不足」が最も多くなり、DXの加速を迫られているものの、人材の育成が経営課題となっていることが浮き彫りとなった。さらに「スキルや人材不足」について、具体的には「自社内で育成を担える人材が乏しい」「自社で育成するための教育プログラムや教育機会が乏しい」が上位となり、社内での育成に関する課題意識が高いことも分かった。

DXの取り組み状況(出典:電通デジタル)
DXの取り組み状況(出典:電通デジタル)
DXを推進する上での障壁(出典:電通デジタル)
DXを推進する上での障壁(出典:電通デジタル)
DXに関する人材の課題(出典:電通デジタル)
DXに関する人材の課題(出典:電通デジタル)

 また新型コロナウイルス感染症の流行によるDX推進への影響については、DXに着手している企業の約半数でDX推進が「加速」した一方で、「中断/減速」は企業の14分の1にとどまり、コロナ禍での環境が日本企業のDXを後押ししている。

 加速した領域として、「業務の効率化」「既存事業の短期的改善」が上位2つである一方、「中期的なビジネス変革」も3位となっており、短期の改善と中期の変革との両輪での推進を模索していることがうかがえる。

 取り組み領域については、昨年比で「業務プロセスや業務システムの先進化」は引き続き推進されているが、微増しているのは「ビジネスモデルの変革進化」「デジタル時代に対応する事業ドメインへの進化変革」で、DXを基点にしたビジネストランスフォーメーション(BX)への注力領域が目立つという。

 成果については、全体の約5割が、「DXで成果が出ている」と回答している。ただし、約3割は「取り組んだ一部に成果が出ている」であり、限定的な成果が目立つ。また領域別の成果としては、「デジタル全社戦略の策定と実行」「IT基盤の構築やソリューションの導入」で成果が出ている企業が多い。一方で、「イノベーション文化」「顧客体験向上」をテーマとした、顧客に新たな価値を提供する領域では苦戦していることがうかがえるという。

DXの成果(出典:電通デジタル)
DXの成果(出典:電通デジタル)
領域別のDXの成果(出典:電通デジタル)
領域別のDXの成果(出典:電通デジタル)

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