NECは、神奈川県警友会 けいゆう病院(けいゆう病院)の協力のもと、「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム」(HER-SYS)へのRPA(ロボティックプロセスオートメーション)活用について実証実験を行う。
HER-SYSを活用することで、保健所、自治体、医療機関、関係業務の受託者などの間での情報共有が即時に行えるなど、国民に対してより適切かつ効率的な医療の提供につながると期待されている。だが、HER-SYSを効果的に運用するために登録が必要な入力項目は多岐にわたり、情報整理や入力作業を行う医療機関の負担が増大すると懸念されている。
実証では、RPAにより自動入力を実現する「NEC Software Robot Solution」と、登録情報の収集に電子カルテのテンプレート機能を活用する。これにより、HER-SYSへの登録業務の時間と手間の削減が可能か否かの検証を行う。
入力ツールには、NECの電子カルテシステムなどに標準で搭載されているエムケイエス(MKS)が提供するダイナミックテンプレートを利用する。これにより、医療現場の業務用PCからテンプレート形式で効率的に漏れなく入力作業ができる。また、一画面に必要な入力項目がまとめられているため、入力情報の確認が容易となる。さらに、ダイナミックテンプレートを利用することで、将来に向けた未知の感染症対策時にも、新たなテンプレートを作成/配信するだけでデータ収集運用を行うことが可能となり、運用の汎用性が実現するという。
電子カルテ情報を自動引用しながら、HER-SYS登録用データを作成(出典:NEC、けいゆう病院、MKS)
さらに今回の実証では、通常HER-SYSの専用サイトからウェブブラウザ上で1項目ずつ入力作業が必要だった作業を、事前に作成した登録用データを用いて、入力作業を自動化/効率化させる。この検討では、HER-SYS専用に調整したRPAであるNEC Software Robot Solution HER-SYS専用版を使用する。NECはこの実証で使用するシステムの製品化を進めており、3月下旬の発売を目指している。
RPAがHER-SYSへ自動登録(出典:NEC、けいゆう病院、MKS)