VMwareは米国時間3月3日、「VMware SD-WAN」とMicrosoftの「Azure Virtual WAN」ハブの統合的連携を実現すると発表した。これにより、SD-WANのブランチを自動的に「Microsoft Azure」のバックボーンに接続できるようになる。
VMwareのシニアバイスプレジデントであるSanjay Uppal氏は米ZDNetに対して、この統合的連携により、「顧客は当社のSD-WANによって提供されるラストマイルの接続性という利点とともに、Microsoftのバックボーンが提供するパフォーマンスを手に入れられるようになる」と述べた。
この統合は、両社がこれまでに築いてきた強固な提携関係の延長線上にあり、リモートワークを余儀なくされた労働者がWANによるアクセスを活用している中で実現された。Uppal氏は「本社や支店など全てがスムーズに接続されるようになる」と説明した。
Uppal氏によると、VMwareは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生した2020年に、SD-WANビジネスの世界で予想もしていなかった大きな変化を目にしたという。
同氏は「われわれは多くのエンタープライズロケーションにエッジデバイスを配備している。こういったデバイスはそれぞれセンサーのように機能するため、ネットワークの状況を確実に把握できる」と説明した。「3月の初めから4月の間に、世界中でネットワークに何が起こったかを見ることができた。トラフィックのパターンが完全に変わったことに本当に驚いた」
同氏によると、ネットワークは家庭への接続によって特に大きなプレッシャーにさらされたという。そして、帯域幅やレイテンシー、パケットロス、ジッターといった問題が増えていった。
Uppal氏は「そうしたことが起こるとは予想していたが、予想していなかったのは、どれほど早く、そしてそれほどの深刻さで起こるかということだった」と述べた。同氏のチームは「ホームオフィスを支社のオフィスのようにする」ための一連の機能に取り組み、使いやすさとプライバシーなどの優先事項を重視した。
リモートワークへのシフトという流れによって、VMwareのローエンドSD-WANデバイスに対する需要とともに、放射線科の医師のようなプロフェッショナル用のハイエンドデバイスに対する需要が高まった。その一方で、サプライチェーンの問題によって「われわれのコンポーネントとそれに関連するあらゆるものの供給ルートに大きな柔軟性が求められるようになった」という。
Uppal氏は、在宅勤務(WFH)向けソリューションというニーズと、ロジスティクスのような特定業界からのニーズが高まった一方で、「ある種の業界(からのニーズ)が消え去ってしまった」と述べた。これにはホスピタリティー業界や航空業界が含まれている。
同氏は「このため全体的には相殺されているといえる」と述べ、SD-WANの貢献がVMwareの堅調な2021会計年度第4四半期の業績につながっていると述べた。
WFH向けソリューションを求める顧客に関する話を述べると、同社はネットワーク上の問題などを経験しているユーザー向けに「SD-WAN for Microsoft 365」の利点を示すデモを最近実施している。Uppal氏によると、レイテンシーやパケットロスといった問題に遭遇しているユーザーはVMware SD-WANを用いることで、Microsoft 365の利用時に5〜10倍の効率向上を実現できるという。
VMwareは2020年にMicrosoftとともに、「Azure Edge Zones」と「Azure Private Edge Zones」向けのソリューションを提供するための取り組みを始めている。Azure Edge ZonesはAzureサービスをもたらすとともに、仮想ネットワーク機能(VNF)のシームレスな配備/実行能力を顧客に提供する製品だ。なおこういったVNFには、AzureのリージョンやAzure Edge Zonesを横断するVMware SD-WANも含まれている。VMwareは、Azure Edge Zonesの「パブリックプレビュー」に参加している唯一のSD-WANパートナーだ。
また、VMwareはMicrosoftと連携し、ヘルスケアや小売分野の顧客にSD-WANを提供している。Uppal氏は「われわれはエコシステムのパートナーを複数有しており、Microsoftはその頂点に位置している」と述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。