パンデミックの影響は、売り手市場だった労働・転職市場に大きな影響を与えました。求人数は減少し、採用の停止などのニュースも報道されました。
しかし、そのような状況も過渡期を迎えています。ワクチンの接種や日経平均株価の回復など次第にポジティブなニュースも出始め、景気回復の兆しも見え始めました。
企業はコロナ収束後の採用活動に向けて、再度優秀な人材の確保のための対策が必要になってきています。コロナ禍で働き方が大幅に変化した今、景気が回復し、雇用が急増すればこれまで以上に人材確保は難しくなるかもしれないからです。
そして、働き方だけでなく、「企業の多様性」もまた注目され始めています。
最近発表された、米国を拠点とする大企業や中堅企業のナレッジワーカー(知識労働者)2000人と人事担当者500人を対象とした意識調査「Citrix Talent Accelerator」で、従業員の4分の3以上(78%)と人事部長の72%が「人材獲得に地理的な制約がなくなったことで、パンデミック後には場所の偏りがなくなる」と考えていることが判りました。
また、86%の従業員は「将来的には役割、スキル、企業の要件が変化していく中で、住んでいる地域、人種、障害の有無や学歴などにかかわらず、多様性に富んだ労働力がより重要になっていく」と考えています。
これに対し、組織は採用と人材の定着の結果を測るしっかりと整備された“ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)”の取り組みを始めることで、コロナが収束し始めた時であっても、より強く、多様性のあるチームを構築できるようになります。
しかし、それは簡単なことではありません。優秀な人材を獲得するためには、IT環境を改善し、従業員体験を優先させる必要があります。
ここでは、多様性を最大限に活用するために、人事リーダーができるアクションを紹介していきます。
テクノロジーで人材の多様性を促進
86%の従業員が今後、役割やスキル、企業の要件が変化していく中で、多様な人材がより重要になると考えていますが、それに対し同意する人事部長は66%です。
基本的に、従業員は人事部長よりも多様性について前向きです。従業員は、テクノロジーの進歩で新しい業務が生まれる中、必要とされる経歴やスキルが変わってきていると感じています。
それでは、テクノロジー面ではどうでしょうか? コロナ禍、Zoomブームが到来し、テレワークのためのさまざまなテクノロジーが労働環境に投入され、企業のデジタル化を大きく加速させました。
これを経験した人々は、働く上でのコラボレーションツールの重要性に気付き始め、転職する上でも企業がどのようなテクノロジーを使用して働く環境を整えているかが検討要素になってきています。多様で優秀な人材を採用し、維持するために、企業は最新のツールの導入が必要となります。
ボーダーレスな人材を受け入れる
新しい会社の在り方では、多くの業務や役割が本社から切り離され、キャリアの成功が場所によって影響を受けることが少なくなってきています。